"Nutcracker"
Yosemite Manure Pile Buttress

2003年4月30日(水)
M田(ARI)、N原(YCC)、神谷(記)

報告内の<★>マークは、写真へのリンクです。
写真のみのページもあります。こちらから。



<4ピッチ目レイバック>

ルートに関しては、"Yosemite Ultra Classics"(SUPERTOPO)を参照している。報告内各ピッチのグレードも、このトポの数字そのままである。
登るために必要なギア、各ビレイ点を作るのに必要なギア、ルートの形状等もかなり詳細に書かれているので、これさえあれば、ほかは何もいらないとも言える。

インターネットのwww.supertopo.comのサイトでは、pdfバージョンでの購入が出来る。現在、紙版の最新バージョンは2002年8月発行だが、pdfの最新バージョンでは、かなりルート数や情報が追加されている。しかも3年間アップデート無料。
※supertopoのサイトによると、最近"Yosemite Valley Free Climbs"というのも出たらしい。Ultra Classicsと比べると、ルート数はかなり増えているようだが、どう違うのか詳細は不明。

【amazon】の"Yosemite Ultra Classics"へのリンク
www.supertopo.com


Nutcracker
1ピッチ目【M田リード】(5.8)
取付は、さまざまなバリエーションルートがあるのだが、最も一般的と思われる5.8のレイバックがある中央の凹角から登り始めることにする。
III級程度の約10mをノーロープで登り、そこの灌木から登攀開始。
中間の灌木までの15mは易しいので一気に進める。が、その先が問題。レイバックはスタートすると、中間支点をセットする余裕がなくなるので、ランナウトしやすい。2-3箇所休めるところはあるが、基本的にはずっとレイバック。腕もいい加減に疲れてくる。しかし、もっと大変なのはルート上に水が流れていると言うこと。ちょうど足を置くべきフェースの部分に水流があり、どうにもにもならない。トップも、テンションの連続でようよう抜けていく感じだった。最後の少しかぶったところは、最悪。足のフリクションが全く効かずにツルツル。<★中間部の木まで><★最後の乗越>
セカンドがギアをすべて回収したあとのラストはさらに大変。A0もできないので、左のフェースに振り子して、濡れていないところを細かく登る。それでも滑って、最後は強引に身体を引き上げる感じ。
このピッチ、残置フレンズが中間部の灌木までに1本。最後のかぶったところに2本あった。
ちなみに、濡れている凹角を避けて、左の5.6のクラックから登るルートもあるが、最後のトラバースは、ほとんど支点が取れず、とても怖そうに見えた。

2ピッチ目【N原リード】(5.7)
出だしのフィンガージャム4mがやや悪いが、それを抜けて、バンドに出てしまえば、あとは、III級程度の歩き。
2ピッチ目終了点のテラスは、昼寝ができるほど広い。<★昼寝できそうなテラス>

3ピッチ目【M田リード】(5.7)
見るからに濡れていて、やる気を失せさせる。ちょうど登るライン上を水が流れている状態なのが、また嫌な感じ。でもここまできたら仕方がない。もう登るしかないのだ。
出だしは、高度感のあるクラックに乗り移る。足を一杯に伸ばさないと届かず、結構怖い。ハンドジャムがばっちり決まるのが、救いだ。
中間部分は、もうびしょびしょ。フォローだったので、テンションやらA0やら使いまくり。ランナウトする部分もあって、この状態では、とても(自分には)リードできそうに思えない。フリクションの効かないレイバックなんてどうすりゃいいんだ?<★濡れてるルートを見上げる><★濡れたクラックのレイバック>

4ピッチ目【神谷リード】(5.8)
3ピッチ目で相当疲労していたのだが、ここは私がリードすることにした。登る前に決めていたことでもあるし、やはり、リードで登って、ヨセミテの岩の本当の感触を感じたいと思ったからだ。
出だしのルーフは、残置ナッツがあったので、遠慮なく使わせてもらう。
フェースに出てからの左トラバースは、中間支点の取りようがなく、非常に緊張した。所詮は5.8で、ホールドもスタンスも十分にあるのだが、高度感はかなりあり、足が震えるほどだ。
フェースから再びクラックに移るところには、トポどおりピトンが一本。ここで一安心。長めのスリングで支点を取る。
次のルーフは、真ん中をクラックが走っているので、そこを縫うように進む。カムを決めて、ハイステップで一気に身体を持ち上げる……が、結局A0。
その先、トポには何も書いていないが、長い長いクラックが続く。ハンドジャム、フットジャム、レイバックなど、良く決まって気持ちがよい。カムもナッツも良く決まるので、片端から支点を取って行きたいところだが、ギアの配分を考えると、そうもいかず、適当に間引きながら、ランナウトしつつ登る。
途中、オプショナルビレイポイントがあるが、さらに伸ばして、ハングの下でビレイ。45mくらい。今回、メインは60mロープだったが、50mロープで屈曲した中間支点の取り方をしていると、このピッチは届かないかもしれない(オプショナルビレイ点で一旦ピッチを切ればよいだろうが)。
このピッチは、濡れていなかったし、様々なクライミングテクニックを駆使できる快適なピッチだった。
登っている最中は、ランナウトで怖かったけど、これこそがクラッククライミングだ!と言える素敵なピッチだったと思う。<★ひたすら続くクラックを><★テクニックを駆使して登る>

5ピッチ目【M田リード】(5.8)
凹角から手を伸ばして、マントルを返してルーフを越える。
ぐっと手を伸ばすとガバがあるので、それで一気に身体を持ち上げる。足の使い方がポイントか。フォローだったからいいが、トップは怖いだろうなと思う。<★マントル返し連続写真1><★2><★3>
その先は、レイバックというかジャミングでフェース登り。結構ランナウトする。
左にトラバースして、頂上の台地の一段下の灌木でビレイ。

下降は、After Sixと同じ。



4月30日(水)快晴


9:20 登攀開始【Nutcracker】
-11:00 1ピッチ目(13.5℃)
-11:50 2ピッチ目(15.8℃)
-13:35 3ピッチ目(14.5℃)
-15:10 4ピッチ目(19.3℃)
-16:30 5ピッチ目(13.6℃)
17:00 取付(14.8℃)




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