あまり眠れなまま朝を迎えた。
しかし、のどは痛いし、頭は痛いし、身体はフラフラする。一晩寝たが、昨日とほとんど体調は変わっていないような感じだ。
今日はできるだけ下ろうと思う。
歩くペースは昨日ほど遅くはないが、何だかボーっとしながら足を前に進めている。
1時間でトゥクラへ。休むことなく、先を急ぐ。
さらに1時間。ペリチェで休憩。ミルクティを飲む。
多少楽になったが、頭痛や吐き気はまだある。
さらに1時間。ショマレ。4000mを下回っているのに、体調があまり変わらない。これだけ高度を下げても、調子が戻らないのはおかしくないだろうか。
ここでようやく、もしや、と思い始めた。もしかしたら、高所障害ではなく、ただの風邪かもしれない。
風邪ならば、症状にも納得はいく。体温計で測ったわけではないが、熱はあるだろう。頭痛、のど痛、寒気。
だとしたら、いくら下っても仕方がないことになる。暖かくして、ゆっくり休むことが必要だ。
13時10分。タンボチェ着。早く休みたかったのだが、どこのロッジでも部屋がないといわれる。一番端のロッジで、ようやくドミトリーを確保。
プラカスに聞いてみると、「日本人一人」というがダメらしい。「部屋はありますか」「はいあります」「日本人一人なのですが」「ごめんなさい、やっぱりないです」ということになるらしい。
日本人はあまり食事をしないので、歓迎されていないとのこと。ディンボチェ(2人分の部屋代を払う)やロブジェ(ドミトリー)で、個室をもらえなかったのも同じことらしい。しかも一人だと、余計にダメらしい。欧米人は、食事の量も多いが、タバコを買ったり、お酒を買ったりするから、一人でもOKとのこと。ここのロッジでも、あとから来た欧米系2人グループはちゃんと個室に通された。こんなところで日本人差別にあうとは。ちょっとショックだ。
ロブジェから一気に下ってくると、ここはもう「人間の世界だ」という感じがする。樹も茂っているし、人もヤクも多い。タンボチェのゴンパ(僧院)は、火事で焼失したものを最近建て直したらしいが、あまりにも立派過ぎて、近寄りがたい。タンボチェは、確かに眺めもいいし、良いところなのだけど、何か人工的なにおいがする。個人的には、ロブジェからゴラクシェプまでの白くて山しかない世界のほうが印象的だ。あの場所は、独特の世界で、「神々の世界の入口」なんだな、と改めて気付いた。<★タンボチェとアマ・ダブラム><★タンボチェのゴンパ(僧院)>
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