ネパール・トレッキング(クーンブ編)
10月16日(木)[曇り]
カトマンドゥ〜ルクラ(2840m)〜パクディン(2610m)

前日 翌日

5:30 起床
6:00 朝食(ホテル内レストラン)
6:30 ホテル出発
7:00 トリブヴァン空港着
9:00 カトマンドゥ発(Gorkha Airlines)
9:30 ルクラ(Lukla・2840m)着
9:30 食事
10:40 ルクラ発
12:00-12:15 休憩(タード・コシ(Thado Koshi))
12:40 パクディン(Phakding・2610m)Shangri-la guest house着 20℃
17:00 夕食
19:00 就寝

 ネパールでの最初の夜が明けた。
 ホテルで朝食。コンティネンタルRs180。ガイドのプラカス(Prakash Magar)が迎えに来る。23歳、ガイド暦5年。あまりの若さにちょっと驚くが、カトマンドゥで学んだと言う日本語は達者。
 カトマンドゥの街をタクシーで走る。夜が明けて、初めて街が見えてきた。
 朝6時でも、すでに街は人で溢れている。日本の朝だったら、スーツ姿のビジネスマンがたくさんいるのだろうが、こっちにはそんな人は一人もいない。
 何をしているのだか分からない人が、たくさんたむろしている。野菜を売ったり、お茶を飲んだり、お祈りしたり。街を見て、自分が日本ではないところに来ているのだと、ようやく気付く。
 ネパール、カトマンドゥという街、その言葉の響きにずっと憧れていた。そして、自分が今そこにいると言う現実。
 不思議だ。
 目が潤んでくるのは、むせ返るような排気ガスのせいなのか、この夢のような現実のせいなのか。
 記録の中で、写真の中で、小説の中で、何度も見てきた街の一部として、自分が存在している。何かまだ信じられない気もする。
 眼に映るもの全てが新鮮で、一つ一つを心に残しておきたいように思えるが、タクシーは、あっという間に街を通過してしまった。今はまだ良い、まずはトレッキングが先である。トレッキングが終わって、じっくりこの街を探索する日まで楽しみを取っておこう、と思う。
 空港までの警備は厳重だった。何度も警察の検問があった。

 8時の予定だったフライトだが、結局1時間遅れて、9時出発。ルクラ行きの飛行機はいくつも飛んでいったが、我々が乗るものは、なかなか順番が来なかった。ネパール語で職員が「次のフライトは××」と言っているようだが、さっぱり分からない。こういうときはガイドが頼り。
 ようやく来た飛行機に乗り込むと、タマネギくさい。人と一緒に、客室にも荷物満載。食糧がたくさん積み込まれる。
 ルクラへの機内から見えたヒマラヤの山脈(やまなみ)は、まるで幻のようだった。連なる白い山々。今からあの麓まで行くのだ。
 ルクラ空港へ着陸。壁にぶつかるかと思えるほど近づいて、一気にブレーキ&ターン。恐ろしい。しかし、今舗装されている空港も、つい数年前までは砂利だったという。それよりは多少ましか。
 ルクラのレストランで食事。室内は電気がついておらず、とても暗い。初めてのモモを食べる。話に聞いていたとおり、確かに餃子のように見える。ただ、皮が硬めだ。辛いマスタードをつけて食べるのが新鮮。期待と不安で胸は一杯だが、モモはおいしく食べられた。

 多少の緊張の中、いよいよ歩き出す。これから長い道のりが始まる。歩きとおせるだろうか、高所障害は大丈夫か、天気はどうか。考え出すときりがない。ともかく、もうスタートしてしまったのだ。元気に歩き続けること。それだけが一番大事。
 ルクラから下り気味の道を降りていく。天頂は快晴で暑いくらいだが、遠くの山には雲がかかり、雪の山は見えない。足元だけ見ていると、奥多摩の裏山を歩いているような感じがする。ただ、谷が深くて、周りの山は高い。ドゥード・コシの河の流れは白く、「ミルクの河」という意味が良く分かる。これは、氷河から溶け出した雲母の色らしい。マニ石(チベット仏教の経文を書いた石)
 ヤクが歩いてる!とか、あっマニ石だ、右側を通らなきゃ(仏教で左手は不浄の手だから)!とか、一つ一つが新しい。<★メンダン(チベット仏教の経文が書かれた石版の壁)>
 途中、集落はたくさんあって、地図を見ながらでないと、どこがどこか分からない。歩いているうちに、次々と集落を抜けて行った。
 ルクラから今日の宿泊地であるパグディンまで、4時間の行程を2時間で来てしまう。あっという間だった。少しペースが速いかもしれない。高所に行ったら、もっとゆっくり歩かなくては、と思う。<★パグディンの吊橋とドゥード・コシの流れ>

 ロッジの宿泊も、食事も何もかもが初めて。手順が分からず戸惑う。こういうとき、ガイドのありがたさを感じる。余計なことを心配せずに、歩くこと、周りのことだけに専念できる。分からないことは教えてくれる。彼は日本語も結構話せるので、随分楽だ。
 食事は、ロッジの「オーダーノート」に部屋ごとに自分で記入する。食事を作るのには、時間がかかるから、夕食は早めにオーダーする。メニューを見て、夕食をどうするのか考えることだけでも楽しい。ロッジの文字はほとんど英語だし、会話も英語で十分通じる。
 ミネラルウォーター1リットルがRs100。部屋代が個室のダブルルームRs100で値段が同じというのも、日本の山小屋を考えると、基準が違う、と思える(日本だと山小屋素泊まり4000円くらい?)。宿泊するロッジ以外で食事を摂ったら、Rs500取られる、というのも面白い(部屋代は安いけれど、その分食事代で収支を合わせる、ということらしい)。
 太陽光発電で電気もちゃんと点くし、快適だ。食事はベジタブルカレーとボイルドエッグにした。インディカ米は、とてもおいしく食べられた。カレーも薄味に感じるけれど、とてもマイルド。野菜は裏の畑で取れたものだろう。新鮮でおいしい。
 こうしてトレッキング一日目が終わった。いろいろと考えていたこと、心配してきたことも、実際に来てしまえば、何事もなく過ぎていくものだ。今日は無事に歩きとおせた。明日はナムチェ・バザールだ。ゆっくり歩いていこう。

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