風邪というより、二日酔い的な症状で、朝から気持ちが悪い。やっぱりビールはやめておけばよかった。
レモンジュースと、コーンマフィンだけ食べる。
プラカスにチップを渡す。Rs2500。行動中のお茶代は、基本的にガイド料に含まれていないが、今回は、全部出してもらっていたので、その分も込み。本当は、Rs3000なんだけど、Rs500マイナスなのは、ゴラクシェプからの下りで、ガイドだけ先に行ってしまった分のペナルティ、という説明をした。
空港に着くが、続々と来る飛行機は全部別の会社のもので、我々が乗る会社のものは来ない。話によると、カトマンドゥでのマウンテンフライト(遊覧飛行)の客を優先させるので、1時間は遅れるとか。何だそれは。天気が悪いから飛べない、というのは分かるけど……。日本じゃ考えられないな。さすがネパール。
7時30分の予定が、10時過ぎになって、ようやくフライト。
ルクラを去るとなると、感慨もひとしお。この飛行機に乗って、ルクラに来たのは18日前か。
前半は順調だった。ゴーキョまでは、高所障害もほとんどなく、ゴーキョ・ピークには、二回も登ることができた。
まず天候が変化した。雪が降るとは考えてもみなかった。10月から11月は、毎日天気が良くて、快適なトレッキングになると、ほとんどのガイドブックには書いてあったし、前半の天気はまさにそういう感じだったからだ。
そして、体調が悪化した。症状からして当然高所障害だと思った。カラ・パタールの頂上に1時間半もいたのが間違いだと思った。しかし、いくら高度を下げても体調は変わらなかった。今でもはっきりした原因は分からないが、たぶん風邪だったのだろう。ゴラクシェプからの下りはずっとフラフラだった。
まあ、あまりにも順調すぎると、心に残るものもなくなってしまうから、多少のトラブルは歓迎すべきなのだろう。雪の後のディンボチェでの夕景はとても素晴らしいものだったし、新雪をかぶった山々は、いままでとは全く違った表情を見せてくれた。
体調の悪さだって、あとから考えれば笑い話だし、これが終盤でよかったとも思える。序盤にこんな体調になっていたら、即刻下山しなければならなかっただろうから。
結果としては、ゴーキョ・ピーク、カラ・パタール、エヴェレスト・ベース・キャンプの三つの目標を全て達成することができた。しかも、一日雪でステイしたにもかかわらず、日程としては一日早く下山することになった(カトマンドゥに戻って、旅行会社のオフィスで、一日分$20を返還してもらった)。
最後はバタバタしたが、全体で見れば、実りがあり、考えさせられることの多い、素晴らしいトレッキングになったと思う。次があるとすれば、やはり、頂に立ちたいとは思う。
カトマンドゥへのフライトは、行きとは違って雲が多く、山はあまり見られなかった。眼下のどこまでも続いている段々畑のほうが印象的だった。
山はどんどん小さくなり、街が少しずつ大きくなってきた。カトマンドゥのあの独特のにおいが近づいてきたような気がした。
飛行機は、カトマンドゥの空港に静かに着陸した。
クーンブでのトレッキングは終わったが、カトマンドゥでの生活がこれから始まる。
旅はまだ続く。
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