1月16日(月)快晴<プンタ・デ・バカス〜パンパ・デ・レーニャス>【1日目】

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8:00起床
9:00-9:30朝食
10:30Los Penitentes(ロス・ペニテンテス)出発
10:45-11:00Puente del Inca(プエンテ・デル・インカ)
11:20Punta de Vacas(プンタ・デ・バカス、2325m)着25℃
11:30Punta de Vacas出発
12:10-12:20R1(2410m)26℃
13:15-13:25R2(2470m)27℃
11:05-11:20R3(2575m)22℃(行動食:ゆで卵)
15:15-15:40R4(2655m)26℃(行動食:リンゴ各1個)
16:15Pampa de Lenas(パンパ・デ・レーニャス、2700m)着26℃
16:15-17:00テント設営
17:15-18:05水汲み
19:00-20:20夕食(白米、チキンコンソメスープ(チキンブイヨン、玉ねぎ1/2個、人参1本、じゃがいも2個)、紅茶、砂糖)
※エスファイト各1錠、バンテリン少々
22:00消灯
【行動4:45 実働3:35】


 1月13日、飛行機にてMendoza(メンドーサ)着。
 14日食糧・燃料買い出し、入山許可証取得、ムーラの手配などを行う。
 15日ユースホステルの車でロス・ペニテンテスに入る。
 ロス・ペニテンテスには、いくつかの宿とレストランがある。ユースホステルの人の勧めで、素泊まり1人1泊$8の宿に泊まる。1階がレストランになっており、別料金だが食事もできる($5-$8くらい)。シャワー、トイレは共同。シャワーはお湯も出る。
 今日は、ムーラ(ラバ)遣いのオルテガ氏の車でプンタ・デ・バカスに行く予定になっている。
10時30分オルテガ来る。オルテガの都合により、プンタ・デ・バカスに行く前に、プエンテ・デル・インカに向かう。プエンテ・デル・インカ(インカの橋)は、自然橋で有名な観光地。土産物屋やレストラン、宿などがある。ノーマルルートでアコンカグアに登る場合には、ここが基点になるところだ。橋は想像していたものより巨大だった。これが自然にかかったものであるというのは驚きである。
 再びロス・ペニテンテスを経由して、プンタ・デ・バカスへ。
11時20分プンタ・デ・バカス着。天気は快晴。ただし風は強い。右手にバカス川を見て、最初の一歩を踏み出す。ムーラは足が速いので、1-2時間後に遅れて出発するそうだ。ムーラに預けるために、神谷の100リットルザック1つと30リットルくらいの手提げバック3つを利用して荷を詰めた。それ以外の手持ちの荷物(防寒具、行動食、小テントなど)は、三堀の100リットルザック、神谷の30リットルサブザックで持った。二人のザックの重量がアンバランスになるため、1日ずつ交代で持つことにした。初日は三堀が100リットル、神谷が30リットルを背負う。だいたい三堀16kg神谷10kgくらいになった<★記念すべき最初の一歩>
 沢沿いの道を歩いてゆく。岩礫地帯。ずっと平坦な道が続く。沢の水は濁って茶色く見える。流れは速い。遠く氷河から流れてきたものだろうか、触れるととても冷たく、熱くなった身体には心地よい。陽射しは強いので、帽子、サングラスは必携だが、暑いほどではない。2500mを超える標高のためだろう<★平坦な岩礫帯>
 荒涼とした大地が続く。足元ばかりを見ているとうんざりするような道だが、回りを見渡すと日本では見られない珍しいものばかり。植物はあまりないが、ハイマツのような棘のある低木や、黄色く小さな花をたくさん付ける草などが見られる。背の高い植物はないようだ。
 途中、下ってくる一人のアメリカ人とすれ違った。話を聞くと、Polish Glacier Routeに五回チャレンジしたが、強風のため全て失敗して帰ってきた、とのこと。やはり上部は風が強いのだろうか、少し心配になる。
 この辺りには、アブらしき虫が多い。油断すると噛まれて痛い。このアブ(?)にはプラサ・アルヘンティーナ手前くらいまで悩まされた。日が落ちるとどこかに去ってゆくのだが、日中は外で昼寝もできない。
 16時25分パンパ・デ・レーニャス(2800m)着。ちょうど我々がキャンプサイトに着いたとき、ムーラも到着した。そこには小さな岩小屋があり、レンジャーが2人駐在していた。メンドーサの街で取得した許可証を見せると、ゴミ袋(大1小2)を支給してくれた。水のことについて尋ねると、ここまで来る途中にあった沢の水を使えとのこと。そう言えば、「Pampa de Lenas 1km」という看板のある沢を途中で渡ってきたが、水はキャンプサイトにあるものと思っていたので、通り過ぎてしまった。仕方ないので、テント設営後に水汲みに行くことにした。(ちなみにレンジャーはあまり英語は得意ではないようだ。通じなくはないが、単純な会話しかできない。)
 キャンプサイトは広い。テントはいくらでも張れそうだ。今のところ他パーティの姿は見えない。風が強かったので、大きな岩の陰に張り風を除けることにする<★ここがキャンプサイト>
 テント設営後に水汲み。15分ほどかけて1km戻る。水汲みには浄水器を使用した。三堀がアメリカで購入したもので、ポンプ式。一方のチューブを沢の水に浸け、レバーを上下させることによって、濾過された水がもう片方のチューブから出てくるしくみだ。この沢の上流の方を見ると、ムーラが歩いていたので、そのまま飲むのは危なさそうである。水に少し色と味がつくが、この浄水器には今回とてもお世話になった。
 キャンプサイトに戻るとすでに日は陰っている。風もおさまっていた。山に囲まれているので日没は早いようだ。20人くらいのツアー客など、他のパーティも到着していた。
夕食は、ご飯とチキンコンソメスープ。アルゼンチンで買った米は長細くてパサパサしている。スープは野菜を入れて、コンソメで味付けした。なかなかおいしい。重量と日持ちを考えて、野菜を使うのはプラサ・アルヘンティーナまで。それまでは、毎日このメニューである。夕食後に疲労回復のためにエスファイトを服用。エスファイトは、休養日をのぞくほぼ毎日、一日一回夕食後に飲んだ。
 日は落ちたが、21時を過ぎる頃まで十分明るい。22時消灯。


1月17日(月)快晴<パンパ・デ・レーニャス〜カサ・デ・ピエドラ>【2日目】


7:00起床 気温15℃
7:00-8:40朝食(食パン4枚、チーズ、サラミ、紅茶、砂糖)、出発準備
8:40Pampa de Lenas(パンパ・デ・レーニャス、2700m)出発
9:00-9:30渡渉(9:15-9:30R)
10:20-10:30R1(2925m)15℃
11:20-11:35R2(3015m)20℃
12:20-12:35R3(3075m)19℃
13:25-13:35R4(3105m)20℃
14:30-14:40R5(3140m)22℃
15:05Casa de Piedra(カサ・デ・ピエドラ、3200m)着
15:05-15:15テント設営
17:00-17:20水汲み
17:40-19:15夕食(白米、チキンコンソメスープ、紅茶、砂糖)
※エスファイト各1錠、バンテリン少々
19:55日の入
21:15消灯(日暮れ)
【行動6:25 実働5:10 水2.2リットル】


 朝方冷え込んだが、冬用シュラフであったこともあり、寒くはなく、よく眠れた。朝起きた時には、すでにムーラ遣いの人がキャンプサイトに来ていた。ムーラは荷物を置いたら毎日下山するので、朝早く下から登ってきたのであろう。なるべく早目にパッキングを済ませて、ムーラに預ける。
 渡渉のことはガイドブックにもあった。「に乗って渡るのが一番良い」などと書かれていたが、馬などどこにもいないため、歩いて渡るしかない。沢まで降りてみたが、流れは速い。渡渉地点を求めてしばらく上流に向かって歩く。しかし、ますます流れの勢いは強くなってきたので、結局キャンプサイト付近まで戻ってくる。二股に沢が分岐し、流れが緩くなっているところに、ケルンのような形で小さく石が積まれていた。ここで渡りなさいということだろう。他の場所ではほとんど不可能そうに見えるので、その場所に決める。
 靴と靴下を脱ぎ、サンダルに履き替え、ズボンをまくって、思い切って入る。しびれるような冷たさ。我慢して歩くが、だんだん足の感覚が鈍ってくる。流れが速いのでゆっくり一歩ずつしか歩けない。川の中央での深さはヒザ上15cm位まであった。とにかく対岸を目指して気持ちを集中した。二股に分かれたもう一方の沢は、最初の渡渉に比べればたいしたことはない。余裕で渡れる<★足がしびれる渡渉>
 昨日よりは雲の量が少し増えたが、相変わらずの快晴。陽射しがきつい。昨日日焼けした腕と顔がひりひりしている。
 遥かに続く草原や河原を行く。ずっと遠くの方まで見渡せるが、あそこまでたどり着くのはいつのことかと思えてくる。アコンカグアに向かって歩いているのかどうかすらだんだんわからなくなってきた。日本の山とのスケールの違いを思い知る<★我々の荷を乗せてムーラが行く>
 3000mを超えたあたりで頭に鈍痛。高度障害の初期症状のようだ。休みを取ってゆっくり歩くことにする。しばらく痛みは続いていたが、3時間ほどするとすっかり解消した。問題はなさそうだ。
 カサ・デ・ピエドラ到着直前、初めてアコンカグアがその姿を見せた。頂上は雲に隠れているが、圧倒的な威圧感を持って我々を迎えている。「来られるものなら来てみろ」と言っているかのようだ。「やってやるぞ」と新たな闘志が湧き上がった。遥か遠くに見えるあのピークを目指して、がんばって行こうと思う。
 カサ・デ・ピエドラのキャンプサイト(3200m)は、だだっ広い河原。ムーラは先に到着していたようで、荷物だけが置かれていた。カサ・デ・ピエドラとは「岩の家」の意味。その名の通り、小さな岩小屋が上流の方に見えた<★キャンプサイト、その向こうにアコンカグアの頂>
 水はキャンプサイト近くの沢から取った。あまりきれいとは言えない。ガイドブックによると、水は岩小屋の北側から取れ、と書いてあるが、岩小屋はキャンプサイトからは遠くにあったため、確認はしなかった。
 19時55分アコンカグアの方角に日が沈んだ。太陽は見えなくなっても、アコンカグアはしばらくの間、夕日を浴びて輝き続けていた。まるで「幻の山」といったイメージで。



1月18日(火)快晴<カサ・デ・ピエドラ〜プラサ・アルヘンティーナ>【3日目】


6:45起床 気温10℃
6:45-8:10朝食(食パン6枚、チーズ、サラミ、紅茶、砂糖)、出発準備
8:10Casa de Piedra(カサ・デ・ピエドラ、3200m)出発
8:15-8:30渡渉
9:15-9:25R1(3310m)16℃
9:55-10:10R2(3440m)22℃
10:30-10:40渡渉(3540m)18℃
11:10-11:25R3(3595m)19℃
12:00-12:15R4(3690m)20℃
12:55-13:15R5(3785m)21℃(行動食:リンゴ各1個)
13:55-14:05R6(3985m)18℃
14:40Plaza Argentina(プラサ・アルヘンティーナ、4200m)着22℃
14:40-15:20テント設営[16:00脈拍94回/分]
16:15-16:30水汲み
18:30-19:50夕食(パスタ、チキンコンソメスープ、ツナ缶、紅茶、砂糖)
※エスファイト各1錠、パンビタンハイ各3錠、バンテリン少々
18:45日の入
21:15消灯(日暮れ)
【行動6:30 実働5:05 水2.35リットル】


 今日も朝から雲一つない晴天。朝焼けに赤く染まるアコンカグアは美しい。
 朝起きると耳の後ろ側に水泡ができていた。二日間の強い陽射しが原因だ。耳の後ろには日焼け止めクリームを塗るのを怠っていた。特に薬もないので、そのままにして様子を見ることにする。このあと日焼け防止のため、タオルをかぶって耳を隠し、その上から帽子をかぶるようにした。
 今日もまた、朝一番は渡渉から始まる。今まで沿って歩いてきたVacas(バカス)川を横切り、Relinchos(レリンチョス)谷へと入っていく。キャンプサイトからまっすぐレリンチョス谷の方に向かったところで渡った。このあたりならどこで渡ったとしても、昨日の渡渉よりは流れも緩やかだ。深さはヒザくらいまで。しかし冷たさは昨日と変わらない。しばらく浸かっていると足がしびれてくる。試しに水温を計ってみると、3℃。冷たいわけである。
 バカス川を越える時以外にもレリンチョス谷に入っていくときに渡渉する箇所がいくつかある。しかし、その場合は飛び石で渡れるので、サンダルに履き替える必要はない<★いくつかの渡渉のうちの一つ>
 渡渉を終え、正面にアコンカグアを見ながらレリンチョス谷を進む。今までと景観がすっかり変わった。レリンチョス谷は急峻であり、山懐に入っていくという感じが強い<★レリンチョス谷に入り>
 R1〜R2の間に、急なアップがある。昨日、一昨日と平坦な道ばかりだったのでかなりきつかった。アップが厳しいと感じるのは、高度のせいもあるのだろう。登り切ったところで3440mであった。
 3540mの渡渉はアコンカグアが見渡せるわりと広い河原。水量は少なく、ヒザ下10cmくらい。この頃には陽射しも出ているので、冷たさもそれほど強くは感じない。
 12時55分、ついに自己最高高度(富士山3776m)を超えた。ここから先は未体験ゾーンだ、と思うと少し緊張してくる。しかし、体調はすこぶるよい。高度の影響もほとんどないように感じられる。
 広い涸れ沢を渡り、モレーンをまいていくとそこにプラサ・アルヘンティーナはあった。ここまで来るとさすがに息が切れる。深く空気を吸い込むと肺の奥が痛む。水を多めに飲むように心がける。
 プラサ・アルヘンティーナ(4200m)は、ポーランド氷河を目指す場合の通常のBCとなるところ。各国のテントが花盛り。ざっと見て、20-30張り位はあるだろう。「ビール、コーラ」などの看板もある。ここにいる人たちのうち、登頂できるのはどのくらいなのだろう。ここからだとアコンカグアは手前の岩山に阻まれてよく見えない。まだ先は長い、焦らずに着実に進んで行こうと思う<★テントが立ち並ぶプラサ・アルヘンティーナ>
 水場は、キャンプサイトの北側にある小さな沢を渡った先。キャンプサイトからは5分くらい。「AGUA/WATER」の標識があり、パイプも通してあって、きれいな水を得られる。水汲みのために5分歩くだけで息が切れてしまう。空気の薄さを実感するが、平静にしていれば問題はない。平地と同じように呼吸ができる。
 4000mを越えると米を炊くのは難しいので、今日の夕食にはパスタ(マカロニ)を使用した。スープは同じ。ツナ缶は、キャンドル立て用に持ってきたもの。中身を食べて、空缶を利用するつもり。夕食後にエスファイトに加えて、栄養補給用ビタミン剤パンビタンハイを服用した。この先野菜が取れなくなり、栄養に偏りが出ることを考えてのことである。また、高所障害対策として、鉄分が有効であるという話を聞いたので、鉄分の補充も兼ねていた(しかし、後にパンビタンハイには鉄分が含まれていないことが判明)。
 夕方、レンジャーが許可証のチェックと下山路の確認のためにテントを訪れた。下山ルートとしては、このまま同じ道を帰る方法と、ノーマルルート側にトラバースする方法の二つがある。どちらにするかは、まだ決め兼ねていたが、とりあえず、同じルートで下山すると答えておいた。
 この夜、テントから外に出て空を眺めた。宇宙が透けて見えるような満天の星空を期待したのだが、あいにく月があまりにも明るすぎた。もうすぐ満月のようだ。星は見えなかったが、ヘッドランプが要らないくらいに眩しいほどの月明かりの下を歩いていると、今が夢なのか現実なのか分からなくなってくる。完全な静寂。他に動くものすらない世界。果てしない孤独。
 南十字星を見つけた。手を合わせて祈った。「アコンカグアに無事登頂できますように」。


1月19日(水)快晴<プラサ・アルヘンティーナ(休養日)>【4日目】


7:40起床 気温0℃[脈拍66回/分]
7:40-8:30朝食(食パン4枚、チーズ、サラミ、紅茶、砂糖)
11:30-12:30散歩26℃
16:00-16:20水汲み
18:15-19:20夕食(パスタ、チキンコンソメスープ、紅茶、砂糖)
※ パンビタンハイ各3錠、ワカ末神谷3錠
18:45日の入
21:15消灯(日暮れ)
【行動、実働0:00 水2.1リットル】


 4000mを超え、昨夜は寝られないのではないかと思っていたが、想像した以上にぐっすりと休めた。朝方の冷え込みは厳しいが、眠れなくなるほどではない。
 今日は高所に身体を慣らすための休養日。4000mを超えたので、一休みとする。朝食を摂ってしまうと特にやることはない。持ってきた文庫本(「アコンカグア山頂の嵐」ちくま文庫)をしばらく読んで、横になる。こうして横になっている間にも、身体はこの環境に順応しようと努力している、と考えると不思議な気分だ。
 昼ごろ一人で散歩に出かける。特に踏み跡もないモレーン上をゆっくりと下っていく。キャンプサイトからはアコンカグアがよく見えないので、見えそうなところまで下る。昨日登ってきた道がよく見える。砂と岩だけの赤い山(鉄分が多いらしい)にトレースが延々と続いている。ずいぶんと遠くから来たんだと改めて感慨にふける。振り返るとアコンカグアがそびえ立っている。カサ・デ・ピエドラから見たときよりも大分大きく見える。まだまだこれからという気持ちと、ここまで来たんだという気持ちが交錯する。じっと山を見つめ、この先の戦略について考えを巡らした。
 通常は、プラサ・アルヘンティーナにBCを張り、5000mにC1、5900mにC2、可能ならば6400mにC3を建設する方法をとって登る。しかし、我々は小人数であるということもあり、通常のC1が張られる5000m地点をBCとし、5900mにC1を置くことにした。テントも大小二つしかなく、通常どおりC1、C2もしくはC3と伸ばしていくのは困難であるし、順応さえできれば、5000mのBCでも十分休めると考えられた。また、ピークからの下りには"Falso de los Polacos"ルートを使用することにした。このルートはノーマルルート側から氷河を避けてトラバースし、ピークとC1を結ぶもの。氷河を下ってC1に戻るのは、さまざまな点から考慮して危険であると判断したからだ。登頂後の下山ルートは未定だった。ノーマルルートへ転進することも可能だが、ノーマルルートへのトラバースルートが5900mのC1から延びているので、それを行うには登頂後に5000mのBCの装備を全てC1へ荷上げしなくてはならない。登頂後にそれだけの余裕があるかどうかわからないため、とりあえず今のところは状況次第で臨機応変にと考えている。
 テントに戻り、明日BCに持っていく荷物をパッキングする。ムーラが使えるのはここまでなので、この先は自分たちで荷上げしなくてはならない。推定約80kgを二人で二日に分けて運ぶことになる。一日あたり、一人20kg。平地ならともかく、この高度で果たして持てるのだろうかという不安は大きい。ともかく、明日は荷上げすることにした物は以下の通り。
・ 全食糧(明日、明後日の分を除く)
・ ザイル、登攀具類
・ テント(小)
・ アイゼン、プラブーツ
アイゼンとプラブーツは、この先のルート上で必要な場合もあると考えて持って上がるが、明後日雪が降る可能性もあるので、また持って降りてくる。この他に明日の行動中の水として一人2リットルを持つことにした。パッキングしてみた感じでは予想通り一人20kgくらいだった。その結果、明後日の荷上げは以下のものになる。
・ テント(大)
・ 燃料
・ シュラフ、防寒具など
・ アイゼン、プラブーツ
計算ではこれも一人20kg位になるはずだ。ガイドブックによれば、BCとなる5000m地点までは4時間とのこと。ゆっくり行こう。


○BCへの荷上げが始まる・・・20日以降の記録を読む
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