「陽だまりアイス&ハイク」
西上州 御場山西ルンゼ アイスクライミング

2005年2月27日(日)
メンバー:清野、神谷(記)
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<登山道横にF1>

実は、この日は昇天の氷柱に行く予定だった。
しかし、パートナーの清野さんが寝坊して…(以下略)…。

時間もないことだし、アプローチが短く、ルートも短いところとして、「御場(おんば)山西ルンゼ」に行くことになった。
ガイドによると「とても美しい滝で、登っていて楽しくなる」とのこと。
場所は、神津牧場の北側。昇天の氷柱からも近い。

ともかく、行ってみることにした。
途中、行くはずだった昇天の氷柱を遠くから見学。とても繋がっているように見えず、これは、どっちにしても登れなかっただろうな、と思った。
前日登った榎戸氏の記録によると、最後はほとんど冬壁のフリーのような状態だったとか。)

御場山自体はハイキングで登るような低山。エアリアマップにも登山道がでている。その登山道の終点付近に車を停められるスペースがあった。近くの家の人に話を聞くと、アイスクライミングをしに来る人も結構いるらしい。わざわざ家に戻って、クライミングをした人が撮ったという写真を持ってきて、見せてくれた。

道なりに歩いていくと、15分ほどで登山道左手にF1が現れた。想像以上に立派な氷瀑。
西上州の氷はどこも思わぬ場所にある。こんな裏山みたいなところに氷瀑なんてあるの?と半信半疑で行くと、どーんと眼の前に現れる。そのギャップに驚かされる。<★登山道横に突然氷瀑が>


F1【神谷リード】40m
下部の傾斜はそれほどないが、上部の5mほどが垂直。全体の長さが40mほどあって長く感じる。
落ち口付近の氷は薄く、水も流れているが、全体的には氷は硬く、バイルもアイゼンもバチッと決まる。
立岩西面3ルンゼといい、ここといい、非常に氷が硬い印象がある。バイルを研いでいないと弾き返され、入りの悪いスクリューはとことん入らない。<★F1拡大><★F1上部を登る>

F1終了後、ロープを引きずって15分ほど歩く。

F2【清野リード】20m
見るからに薄い。ツララの集合体。<★ツララの集合体>
岩もだいぶ露出しているように見えて、一見大丈夫かな、と思える。
しかし、登ってみると、意外に氷はしっかりしている。落ち口付近は、バイルで岩を叩きそうな感じだったが、ツララが崩壊してしまう、という感じではなかった。<★F2上部>
今回は、無難に、しっかり凍っていて階段状の左側を登ったが、右の氷柱は傾斜もあるし、結構難しそうで、技術があれば楽しく登れるのではないか、と見えた。

F2終了後もまた、ロープを引きずり15分ほど歩く。
登っているときは、風の通り道で寒いくらいだが、ただ歩くだけだと非常に暑い。

F3【神谷リード】30m
F3は、2段に分かれている。下部は緩いのですいすい登れる。上部の傾斜が強く、割合難しい。しかし、その傾斜の強い2段目は5mほどだし、氷の質は良いので、不安なく登ることができる。<★F3><★2段目に取り付くところ>

F3でアイスクライミングは終了。せっかくなので、頂上まで行ってみよう、と歩き出したが、意外に遠い。しかも、ひざくらいのラッセルが続く。歩いても歩いてもなかなか頂上が近づいてこないので、方向転換して北側ピークを目指した。<★山頂は遠かった>
こちらは、すぐに残雪がなくなり、傾斜はきついが歩きやすくなり、ハイキング気分。
ピークに立っても、特に展望が開けるわけではなかったが、ひとつのルートを登り終えた、という充実感が湧いてきた。

ピークで休んでいると、陽射しが暖かく、のんびりした気分になる。風も陽射しも柔らかな春のきざしを含んでいる。アイスクライミングの季節も終わりが近いのだろう、と思わさせられた。

頂上経由で登山道を降りることもできたが、同ルートの懸垂下降で取付に戻った。


技術的に難しい部分があるわけではないが、こんなちょっとした裏山にあるにしては立派なアイスクライミングルートだった。
氷瀑はわずか3つだけれど、どれもがしっかりしたものばかりで、“こんなのロープいらないくらいじゃないか”と思えるようなものひとつもがないのは、すばらしいことだ。
ただ、各滝の間隔が少し長いのが玉に瑕か。
それを考えると、やはり、立岩西面3ルンゼは、傑出したルートだったな、と改めて思ってしまう。

下降している頃になると、F1など特に上部はだいぶ融け出し、水流が激しくなっていた。登るなら、早い時間がいいだろう。ただ、朝から気合を入れて登っても、ルートとしては短いので、物足りなく感じるかもしれない。神津牧場など周辺のエリアと組み合わせてみるのも面白いだろう。
今回は、登り出しが12時過ぎだったこともあり、ある意味ではちょうど良いスケールの氷だったと言える。

西上州には様々な氷があり、いろんなニーズに応えてくれる。非常に奥の深い場所だと思った。
ルートなどの情報は、岳人629号『西上州の氷瀑ガイド』を参考に。


2月27日(日) 晴れ
11:30 駐車場発(1℃)
11:45 取付(6℃)
12:05 登攀開始
-13:00 F1(4℃)
13:15 F2取付(1℃)
-13:40 F2(1℃)
13:55 F3取付(2℃)
-14:45 F3(-1℃)
15:00 稜線(登攀終了・1℃)
13:30 下降開始(1℃)
16:15 取付(6℃)
16:50 取付発(3℃)
17:00 駐車場(3℃)



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