「やはり、というべきか。」
黒戸尾根〜黄蓮谷出合

2005年1月22日(土)〜23日(日)
メンバー:佐野、畑、神谷(記)
報告内の★マークは、写真へのリンクです。




<坊主の滝(1/22)>


黄蓮谷を狙っていた。そうは言っても、すでに時期が遅い、というのは薄々わかっていた。
本来は、昨年末に行くつもりだったが、明星山の事故などあって、結局行けなかった。
ただ、今年は雪が少ないし、冷え込みも遅かったので、ひょっとしたらまだ登れるかも、というかすかな可能性に賭けてみたくなった。

結果は、……。
まあ、やっぱり、だった。

今回、1泊2日の速攻、あわよくば、初日のうちに尾根まで抜けてしまう計画だった。時期がもっと早ければ、日帰りも可能らしいが、さすがにそれは無理だろうと思っていた。

5時前からヘッドランプをつけて行動開始。駐車場の雪は、昨年の12月より少ないくらいに感じる。これならひょっとして行けるかも、と淡い期待を寄せていた。

1月22日
歩き出しは順調。トレースも付いているし、場所によっては、ほとんど雪のないところもあった。しかし、高度を上げるにつれ、徐々に雪の量が増えていった。吹き溜まりではトレースがなくなり、ひざ程度のラッセルを強いられた。<★黒戸尾根はこれくらい>
でも、これくらいならたいしたことはないと思っていた。
刃渡りを過ぎ、五合目が近づく頃になると、ラッセルの量は増えてきた。常時ひざから腰くらいになり、ペースも上がらない。

4-5時間で五合目に着くつもりでいたが、6時間以上かかってしまった。
この時点で気付くべきだったのかもしれない。もうやめておけばよかったのかもしれない。

でも、希望を捨てきれず、黄蓮谷へと下降に入ってしまった。<★黄蓮谷の状態>
当然トレースはないが、過去の記録を見ると、1時間程度で谷に下りており、今回のメンバーは全員黄連谷が初めてだったのが、1時間半もあれば下りられるだろうと考えていた。

最初は赤テープがしっかりついていたので、それをたどるように下る。しかし、程なくテープを見失ってしまった。うろうろしているうちに白いテープを見つけた。テーピングのテープが木に巻きつけてあり、なんか怪しげだったが、周りには他に何もないので、とりあえずそれに従ってみる。
しかし、それが間違いだった。左へ左へと誘導されて、突然、テープは途絶えて、その先は崖になっていた。
だまされた!
仕方がないので、登り返す。
再び、赤テープの地点に合流。今度は右寄りに下ってみると、離れたところに赤テープを発見。
そのうちフィックスロープが出てきた。少なくとも、ルートとしては間違っていないな、と思ったのだが、その場所が曲者だった。古いフィックスロープに完全に体重をかけて、つるつるのスラブをトラバースしないといけないのだ。こんな場所があるなんて聞いてない。それでも、フィックスされているんだから、ルート自体は間違ってはいないんだろう、と思いつつ、そこを越える。
その先もさらに急なスラブで、しかもベルグラまで張っていて、登山靴では非常に怖い。<★フィックスなしでは通れない>結局、ロープを出して、懸垂下降した。
そこからは、赤テープが適宜あったので、順調に下って、岩小屋到着。しかし、この時点で既に下降から2時間が経過していた。14時も近い。このまま降りて、果たして進めるのか、不安になってきた。

登るのであれば、少しでも進んでおいたほうがいい。様子を見るためにも、谷まで下降することにした。

谷が近づくほどにラッセルがきつくなってきた。谷に下りた時点で、ひざから腰くらい。
出合の小滝は、釜が見えていたので、左岸を巻く。巻くために尾根に上がるのもラッセルが深くて時間がかかる。<★釜は凍っていない>
これはもう無理だろう、と思った。こんな状態で進めるわけがない。とてもじゃないが、明日中に下山できるとは思えないし、雪崩も怖い。
でも、だれも“やめよう”と言わない。いつ、だれが言ってくれるだろう、と思いつつ、ラッセルを繰り返す。ともかく、坊主の滝くらいを見るまでは進んでみよう。
しかし、小滝を巻いて、再び本谷に降りると、ますますラッセルはきつくなった。雪は多いわりに氷は薄く、踏み抜きそうになる箇所もあり、単純にガシガシラッセルしていくわけにもいかない。
そのためますます時間がかかる。ザックを背負っていては一向に進まない。胸まで埋まるようになって、限界だと思った。

後ろを振り返って言った。
もう、ここらでやめときましょう……。

小滝を巻いた付近でテントを張ることにして、とりあえずザックを置いて、坊主の滝だけ見に行くことにした。
谷に下りたら、すぐ見えるものかと思っていたが、意外に遠くて、時間がかかった。
坊主の滝もかなり雪に埋まっていた。もちろん、登れなくはないが、さらさら雪が落ちてきていて、嫌な感じがする。<★坊主の滝全体><★取付までは行ってみる><★左のツララはMIXルートになるか>

見るだけ見て、早々に引き返す。

小滝を巻いた尾根上にテントを張り、翌日登り返して下山。
苦労したフィックスロープは、通過しないでも(下から見て)左側を登っていけた。

登り返しながら、正しい下降路を確認したが、やはりよくわからなかった。
赤テープなどの目印も、あるところには続けてあるが、急に途絶えて間隔が広くなる場所もある。
なるべく右へ右へと降りていく、という感じがいいようだ。

翌日、予想に反して、朝から雲が多い天気。
下山中、小雪が舞い始めた。頂上付近では結構降っているかもしれない。
たとえ、雪が深くなくても、登らなくて良かったかな、と少し思った。

予想通りだったとは言え、やっぱり時期が遅すぎたようだ。
最近、年末からラッセル山行ばかりしている気がする。しかもすべて、予定通り進んでいない。

実は、昨シーズンも黄連谷を狙って、黒戸尾根を登った。そのときも、いろいろあって、五合目小屋で一泊してそのまま下山した。黄蓮谷自体は、数年間に渡り、毎年、計画を立てているのだが、そのたびに何かあって登れない。
是非一度は登っておきたいルートなのだが、果たしていつ登れるのだろうか。




1月22日(土) 晴れ
4:55 竹宇駒ケ岳神社出発
11:05 五合目小屋(-6℃)
11:45 五合目小屋出発
13:45 岩小屋(-5℃)
14:55 坊主の滝(-5℃)
15:15 テントサイト着(-5℃)

1月23日(日) 曇り時々雪
7:45 テントサイト発
9:45 五合目小屋(-3℃)
14:00 竹宇駒ケ岳神社(3℃)



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