「スキーも、クライミングも……。」
大谷不動(本流、左側壁右ルート) アイスクライミング
2004年1月31日(土)〜2月1日(日)
メンバー:朝岡、新井(YCC)、神谷(記)
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<左側壁右ルートの氷瀑>
大谷不動は、一昨年以来2回目。 一昨年の記録を読み返すと、『スキー場のリフトの出口でいきなり転んだ』とある。 そして、今回もまた同じところで同じように転んだ。 スキーのテクニックは、全然進歩していない……。 この大谷不動が今シーズン初アイスクライミングとなった。 黄蓮谷や八ヶ岳のアイスを計画して、実際に行ったのだが、色々あって、二回とも氷に触ることなく引き返した。 そのため、結果として、今回が初アイスとなってしまった。 1月31日(土) 前日の出発が遅れ、峰の原高原スキー場に着いたのは、朝の5時になっていた。 わずかな仮眠を取り、眠い身体を引きずりながら、リフトに乗る。 スキーは、全然上達しておらず、BCに着くまでに何度も転倒した。 荷物があるとは言え、もう少し、楽に滑れるようになりたいものだ。 BCに着き、準備をしていると、山岳同人カルパッチョの二人がやってきた。 今回が初めての大谷不動で、今日は、不動裏へ行くとのこと。 本流 さて我々は、まず、前回(一昨年)も登った、本流へ。 一ノ滝では、右側壁に行くという先行パーティが登っていたが、見るからに悪そうな氷結状態。滝下の釜の水の量も一昨年より多い。 しばし考えた後、とても登る気になれないという結論になり、左から膝くらいのラッセルで高巻く。 <★登らなかった一ノ滝> 右側壁の氷瀑を登るパーティを横目に、本流をラッセルしていく。<★右側壁の氷瀑> 二ノ滝(1ピッチ目新井リード、2ピッチ目朝岡リード) 膝程度のラッセルを抜けて、二ノ滝の直下へ。やはり、シーズン初めにしては手ごわそうに見える。 まずは、新井さんがリード。 バイルを打ち込む響き、アイゼンを蹴り込む振動、それらが、ビレイしているこちらにまで伝わってくる。 背筋にぞくぞくする痺れが走った。 毎年、シーズン初めに思い出すこの感覚。 われながら、アイスクライミングが好きなんだなあ、と思う瞬間でもある。 危なげないクライミングで、リードは登りきり、フォローの番となる。 氷にバイルを打ち込む喜びを全身に感じるが、それもわずかな間のことだった。 明らかにトレーニング不足で、あっという間に腕がパンプしてしまった。 フォローでも必死。とてもじゃないが、リードでは登れそうにない。 さらに2ピッチ目。 水流が透けて見えているところもあり、1ピッチ目より条件は悪い。 右に回りこんでから直上する。 ガンガン氷がはがれてしまうのは、道具のせいか、腕のせいなのか。 あっと思ったときには、大きくはがれた氷とともに、自分の身体もはがされてしまい、敢え無くテンション。情けない……。 二ノ滝を登りきったところから見えた三ノ滝は、半分くらい雪がかぶっているように見えたので、登ることもせず、ここで終了とし、BCへ戻る。 <★二ノ滝全景><★1ピッチ目核心部付近> 2月1日(日) 左岩壁右ルート 昨日、本流一ノ滝を左から巻くときに、この滝の近くまでトレースをつけていたので、朝のラッセルは楽ができた。膝下くらいの積雪で、滝下に到達できる。<★右ルートの氷瀑に向かう> 遠くから見ると、かなり立っているように見える右ルートだが、実際近寄ると、意外に段差がある。 とは言え、昨日の疲労は回復しておらず、私には、リードで登る気力はない。 まず、新井さんがリードして、F1にトップロープをかける。 朝岡さんが、スクリューを回収しながら、トップロープで登る。 私もただ登るだけでは、練習にならないと思い、敢えてスクリューを持ち、セットのシミュレーションをしながら登った。 全体で40m。下部は、それほど傾斜がないので、楽に登れる。 中断のバーチカル部分は、左から。凹角状になっており、足の置き場はあるものの、バイルがうまくきまらず、腕の力を使ってしまう。とてもスクリューセットの真似事をする余裕はなく、大いにランナウト。トップロープだから良かったものの、本当にリードしていたら、大変だったろう。 テンションをかけることはなかったが、この一本で、力尽きたほどだった。 <★このあたりが一番きついところ> 一旦、トップロープをはずして、朝岡さんがリードで登る。見事にノーテンションで、登り切った。 時間的にもこれで撤収か、と思っていたが、懸垂下降でスクリューを回収するのは、ロープが振られて難しい、ということで、トップロープ状態でスクリューを回収しながら再び私が登ることになった。 13時を過ぎ、上部には陽が当たり始め、滝上の雪が融けだしたのだろう、私が登っている最中に、スノーシャワー(というかほとんど雪崩に近い)が降ってきた。氷の塊も混じっていて、当たったら痛そう。時間を選ばないと、リードは大変な目にあうだろう。 陽が当たり、氷が柔らかくなってきたことと、すでに、延べ4人が登っていることもあって、2回目のクライミングは非常に楽に感じた。バイルも良く効くし、足場はほとんどできている。1回目で力尽きていたので、2回目は登れないかも、と思っていたが、逆にこのコンディションならリードできそうなくらいに、すんなりと登れてしまった。 帰りは、峰の原スキー場に登り返す予定だったが、大谷不動に来ていためっこ山岳会、G登攀クラブ合同パーティが、宇原側の林道に車を置いている、ということで、彼らの好意に甘えて、それを使わせてもらうことになった。 新井さんだけ先行して下り、置いてある彼らの車に同乗してスキー場に戻り、我々の車を回収してくると言う作戦。残る二人はテント撤収などして後から下った。 BCから宇原川沿いに下っていくので、登りにはならなくて楽だ、と思ったのだが、それは大きな間違いだった。 最初の分岐から、ものすごい急斜面の下り。シールはつけたままで、スキーが滑らないようにしてあるが、それでも怖すぎるくらいの傾斜。思わずスキーをはずして、ツボ足で下る。その後も林道までは急斜面が続く。せっかくのフリートレックだが、スノーシューのようにして、滑らずにほとんど歩きながら下った。 こんな道なら、スキー場まで登ったほうが、よほど楽だったのでは、と何度も思った。 林道に出て、傾斜も緩くなったので、シールをはずして滑り出すが、そうすると、止まれない、曲がれない……。 何度も何度も転ぶたびに、やっぱりスキー場に登ったほうが……、と思わずにはいられなかった。 林道を延々滑り(転び)続けて、約1時間40分。前方から車のライトが近づいてきた。 ようやくこの苦しいスキーともおさらばだ。 スキーがうまければ、ほとんど下りのみで行ける今回のルートは楽なのだろうが、スキーが下手な身にとっては、むしろ登りのほうが転ぶことなく行けて、楽なのではないかと思った。 一昨年スキー場に登り返した時は駐車場まで3時間近くかかっていたので、時間的には、下りのほうが早かったが、転んだり、変な筋肉を使ったりして、身体中あちこちが痛くなってしまった。 今回は、明らかにトレーニング不足だった。腕の力をもう少しつけなくては、と思うことしきり。あと、スキーの力もつけなくては。 スキーにしろクライミングにしろ、もっともっとトレーニングが必要だ、と反省。 |
1月31日(土) 晴れ -2℃〜-8℃(日中)
8:30 峰の原高原スキー場駐車場発 リフト(300円)
11:15 大谷不動BC
12:20 BC発
12:40 本流一ノ滝
13:05 二ノ滝
16:00 終了
16:50 BC着
2月1日(日) 晴れ -4〜-5℃(日中)
8:00 起床
8:50 BC発
14:40 終了
14:50 BC着
15:35 BC発
17:10 林道着
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