山行短信
八ヶ岳 南沢大滝(アイスクライミング)

2001年1月13日(土)−14日(日)
メンバー:村野、菅原、武藤、大竹、原田、神谷(記)
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1月13日(土)
昨年末に引き続き、八ヶ岳南沢大滝でのアイスクライミング。ここは、人も少ないし、すぐそばにテントも張れる。水もある。アプローチは近い。しかも、氷のレベルはそこそこ。と、なかなかに使いやすい場所である。
◆この日は我々の独占状態。他パーティは誰も来なかった。
◆昨年末より、小滝、大滝ともに十分発達していた。特に大滝は見違えるほどのブルーアイス。シャンデリア状のツララは見ていて惚れ惚れするほどだ。
◆今回は、アイスクライミング初体験者が3名。彼らのトレーニングが主な目的である。でも、もちろん自分も楽しむつもりでやってきた。
◆まず、菅原さんリードで、小滝真ん中にルートを引く。トップロープ(9mm×50m1本)をセットし、武藤さんが登る。初めてで戸惑いつつも上まで抜ける。
◆その間に、大竹さん、原田君は、村野さん指導のもと雪面登下降の訓練。二人とも雪山自体が初心者である。アイゼン、ピッケルの使い方習ったばかりで、アイスクライミングに挑戦するというのは、贅沢なのか無謀なのか?
◆菅原さんは、小滝左側にもトップロープをセット。合計2本のロープを引く。
◆アイゼン歩行を覚えた原田君が、真ん中ルートに挑戦。
◆小滝の結果
菅原さん:2本リード(中、左)。村野さん:2本トップロープ(TR)(左×2)。武藤さん:3本TR(中、左、左)、原田君:2本TR(中×2)、神谷3本TR(中×2、左)、大竹さんは雪(氷)面アイゼン登下降のみ。

◆小休止をはさんで、大滝へと移動<★大滝が見えてきた>。
◆神谷リードで、大滝左側の途中の潅木まで。トップロープ(9mm×50m2本)をセット。初めてのアイスのリード。とても緊張したが、その緊張感がたまらない。アイススクリューのセットが難しく、手間取った。
◆懸垂下降で、スクリューを回収しながら降りる。振られ止めで1本残したが、トップロープにすると、ロープの結び目が引っかかることに降りてから気付く。武藤さんがプルージックで登り、修正する。
◆菅原さんリードで、大滝右端にルートを取る。だいぶ水っぽいようで、落ち口付近では、バイルであけた穴から水が噴出。全身を濡らしつつ、トップロープをセット<★大滝右をリードする菅原さん>。
◆右ルートは、続いて村野さんがTR。
◆左ルートは、大竹さんがアイス初挑戦。
◆大滝は、見た目では見事に氷結しているが、近づいて見ると飛沫、水流があるところが多い。そのため、登れるところは限られてしまう。
◆登り足りない部分もあったが、16時近くなったので、撤収。
◆大滝の結果
菅原さん:1本リード(右)。村野さん:1本TR(右)。武藤さん:2本(左)。大竹さん:1本TR(左途中まで)。神谷:1本リード(左)。原田君は残念ながら時間切れのため登れず。

1月14日(日)
◆天気予報によると、南岸低気圧が発生し、ところにより大雪とのことだったが、この辺りは、それほど降らなかったようだ。積雪15cmほど。もっと、ラッセルになるほど降るのかと心配していた。夜中から降りだし、朝になってもまだ降り続いている。トレースは十分残っている。
◆今日は、再び大滝へ。先行パーティが一つ。左側を登っていた。
◆菅原さんが、中央左寄りにあるシャンデリア状ツララを左から越したいと言って、挑戦するが、氷の状態が悪く、結局左端を登る(昨日トップロープをセットした潅木からさらに上に伸ばし、滝上部まで)。
◆トップロープをセットし、神谷が登る。ザイルを2本引っ張って行き、もう1本トップロープをセットする。落ち口の部分で、どうしても右手のバイルがささらず、何度トライしても氷が崩壊するだけ。左手で体重を支えるのにも限界になり、テンションをかけてしまう。言い訳ではないが、これは道具のせいだと言いたい。バイルが決まりさえすれば、きっと登りきれたのだ。ピックを研いでなかったのは自分が悪いのではあるが……。
◆絶え間なく降りつづける雪。登っている最中にも落ち口からチリ雪崩が落ちてくる。眼鏡をつけていると、視界が曇ってしまい登りにくいことこの上ない。曇り止め、ゴーグルなど何らかの対策が必要だ。
◆大滝自体は幅が広いのに、結局3本のロープが左の端のほうに集中する状態になってしまった。なんだかもったいないのだが、それ以外は、氷の状態が悪くて、あまり登りたくはない。<★大滝をトップロープの大竹さん><★同じく武藤さん
◆大滝の結果
菅原さん:1本リード。村野さん:1本TR。武藤さん:1本TR(途中まで)。大竹さん:1本TR(途中まで)。原田君:1本TR(途中まで)。神谷:1本TR。

◆天気はしだいに回復してきたが、早めに切り上げて撤収することにした。今回はここまで。
◆帰り際、小滝を見ると20人ほど集まっていた。講習会だろうか。昨日、誰もいなかったのは本当に運がよかった。

≪まとめ≫
◆長いルートを登り終えると、指先が痺れるように痛むのは何故だろうか。登っているときは何ともなく、休むと途端に激痛が走る。腕を挙げっぱなしで、血が通ってなかったところに、急に血液が戻るから?冷たい氷で凍傷になりかけた指に、急に血液が戻って温まるから?どうも、手袋の性能にも拠るようだ。とにかく耐えがたい痛みが走るので、しばらく行動不能になる。マルチピッチだったら、危険な状態に陥る可能性もあるので、真剣に考えなくては。
◆今回は、他の人のバイルをいろいろと試すことが出来た。道具によって、氷へのささり具合は全然違うことが分かった。やはり、高価な道具はそれなりに理由があって、使いやすい。道具により、技術をカバーすることは十分可能だと思った。
◆とはいえ、次々に新しい道具を買えるほど経済的に恵まれているわけではない。とりあえずは今ある道具でどこまで登れるか。まずはピックの先を研ぎ澄まし、そして技術を上げていくしかないだろう。
◆グレードエイト(縦爪アイゼン)には、だんだん慣れてきた。バイルが多少効かなくても、足が決まっているので安心感がある。やはり縦走用のアイゼンとは一味違う。
◆アイス初体験者の方々の感想。

◇「ホールドを自分で作っていけるのが面白い。うーんはまりそうだ。まずは道具を買うぞ!」(武藤さん)
◇「面白かったけど、疲れた。もっと腕の力をつけなくちゃ。また行きたい。」(大竹さん)
◇「今までは、(何かを始めても)1回やって止めちゃっていたけど、これ(アイスクライミング)は、続けていきたいと思います。」(原田君)

◆今回アイス初リードをした。が、もっともっと練習しなければならない。途中で上手く休む練習、アイススクリューをセットする練習、などなど。経験を積んでいかなくては。

1月12日(金)

23:20 車で立川発

1月13日(土) 曇りのち夜半から雪

1:40 富士見高原スキー場手前広場着
1:40−2:30 テント設営、消灯準備
2:30 消灯
6:00 起床
7:15 出発
7:45 美濃戸山荘着
8:10 美濃戸山荘発
9:15 分岐
9:20 小滝着
9:20−10:20 テント設営
10:20−13:05 小滝アイスクライミング
13:05−13:15 小休止
13:15−13:25 移動
13:25−16:20 大滝アイスクライミング
16:30 テント着
17:00−19:00 夕食(チゲ鍋)
20:20 消灯

1月14日(日) 雪のち曇り

6:00 起床
8:00 テント発
8:10 大滝下部着
8:10−11:00 大滝アイスクライミング
11:15 テント着
11:15−12:00 テント撤収
12:00 テンバ発
12:30 美濃戸山荘着
12:50 美濃戸山荘車発


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