ネパール・トレッキング あれこれ


雪について
水について
ガイドについて
ロッジについて


<雪について>
 ガイドブックには、モンスーン明けの10月〜11月は晴天が続いて、降雪もほとんどない、ということが書いてある。確かに、私のクーンブ方面のトレッキングでも前半は晴天がずっと続いた。しかし、「ほとんど」というのは絶対ではなく、実際、10月24日から3日間雪が降った。
 10月でも降雪の可能性はある、と考えたほうがいいだろう。そのための対策は必要で、とくに足回りの装備は注意。詳しくは、ネパール・トレッキング装備の項を見て欲しいが、降雪を考えた靴と、スパッツを持っていったほうが良いと思われる。

 なお、天気の流れは、基本的には、朝は晴れ、だんだん雲が増えて、午後には曇り、夕方はガスの中で、夜中になるとまた晴れる、という天気のパターンになっていた。朝はとても天気が良いのだが、残念ながら、夕日に染まる山を見られることはほとんどなかった。


<水について>
 水は、クーンブでは、たいていの場所でペットボトル(1リットル)が購入できる。もちろん、沸かした水(boid water)もロッジで買うことができる。洗顔用に、朝、洗面器(ボール)にお湯をもらう(買う)こともできる。ホットシャワーもゴラクシェプでさえ使える。この時期、昼間洗顔に使うのであれば、水で十分。ロッジは沢の近くにあることが多い。
 山の中では、生活廃水は垂れ流しなので、生水は決して飲まないほうがいい。沢の水も、上部にヤクの放牧地があることが多いので、飲まないほうがいい。

 ただ、高所では、水分が平地よりも必要になってくる。『高所では呼吸量が増える上、乾燥した冷たい空気を呼吸するため、通常よりもたくさんの水分が失われる。また下痢などにより脱水が起こることも多い。(中略)高所では食事に含まれる水分量も含めて、1日に4リットルリットルの水分補給が必要だ。』と言われている。(「登山の運動生理学百科」→【bk1】p280)

 だからと言って、ペットボトルの水を買えばいいというものではない。ペットボトルは、山ではリサイクルされずゴミになるだけで、環境に与える影響が大きい。毎日、ペットボトルの水を1-2本飲んでいたら、現地にゴミばかり残していくことになる。クーンブでは、上部までペットボトルの水を買うことができるが、アンナプルナ山域では、上部でのペットボトルの販売が禁止されている。

 水を沸騰させれば(と言っても、高所では100度になる前に沸騰する)、ほとんどの細菌は死んでしまうが、どれくらいの時間沸騰させていたかが問題になる。また、水を沸騰させることで、薪や石油などのエネルギーを新たに使う必要も出てくる。

 ということで、「Lonely Planet Trekking in the Nepal Himalaya 」→【amazon】で推奨されているのが、ヨウ素を使った消毒方法。ヨウ素を使えば、現地の水を消毒して飲むことができる。ただ、現場で気付いても遅いので、事前に用意しておかなければならない。ちなみに日本で購入できる「ピュア」は、塩素系。ニュージーランドには、ヨウ素系ではないと死なない寄生虫がいるらしいが、ネパール・トレッキングではどうなのかは不明。
 持てる荷物に余裕があるなら、浄水器という選択もある。→ICI石井スポーツのサイト

 私は、トレッキング中、ペットボトルはほとんど買わなかった。行動中は、ロッジに着くたびに1時間おきくらいにカップでお茶(ミルクティなど)を飲み、宿泊地に着いたら、スモールボトルでお茶をもらって、水分補給に努めた。途中ロッジがない場所では、事前にテルモスにお茶を入れておいてもらった。


<ガイドについて>
●メリット
・ロッジ、飛行機、入域料の支払など、わずらわしいことを考えずに、歩くこと、楽しむことに集中できる。
・マオイストとの遭遇(クーンブ方面では少ないが、アンナプルナでは、私自身が遭遇して、金銭を要求された)などトラブルのときの交渉や、体調不良時の保険としての安心感を持てる。
・山名、現地の生活、風習、その他、様々なことを学びながら歩くことができる。
・ガイド同士の情報交換により、ルートの最新情報を常に知ることができる。
・ガイドが常宿にしているロッジでは、宿泊費、食費などのディスカウントが効くところもある。

●デメリット
・もちろん、お金がかかる。
・同じ人間とずっと一緒にいなくてはならないので、人間的に合わなかった場合は、つらい。
・ルートは事前に確定しているので、その場の判断で、自由に変更することは難しい。

 ロッジでは、英語は、ほぼ完全に通じる。部屋を見つけて、食事をして、寝るだけなら、中学英語で十分。したがって、英語がある程度できて、一人旅に慣れていて、マオイストの心配がない地域なら、ガイドなしでもトレッキングは可能(ガイドの話では、トレッカーの四分の一はガイドなしだとか)。
 ただ、お金をかけてでも、余裕を持ってトレッキングを楽しみたいのなら、ぜひ、ガイドをつけたほうがいい。下記<ロッジについて>でも触れているが、観光客としてヒマラヤに来ている以上、ガイドやポーターをつけて、現地にお金を落とす、というのも必要なことだと思う。
 ちなみに、私が日本で依頼した見積金額の比較は、こちらのページから。


<ロッジについて>
 食堂の利用は、だいたい20時くらいでおしまい。燃料や灯りのための電力の問題がある。電力は、たいていソーラーバッテリー。一日天気が悪いと、灯りがつかないこともある。
 夕方、日が陰った後は、急に寒くなる。ストーブは、食堂にしかないので、なんとなくそこにいることが多い。電気も食堂にしかないことが多いので、部屋に戻ったら、寝るしかない。
 基本的に、明るくなったら起きて、暗くなったら眠る、という健康的な生活。

 ロッジの部屋の作りは、上部にいくほど簡素になり、薄っぺらいベニヤ一枚で、仕切られていることも多い。個室である、ということだけでも満足すべきだろう。

 ロッジの宿泊費は、個室(プライベートルーム)でRs100-200。たいていベッドが二つのツインルーム。シングルルームは、(ロッジにとって)効率が悪いので、作ってあるところが少ない。
 部屋代は安いが、その分、食事代で収支を合わせるらしく、食料を持ち込んで、食事を自前で済ませると部屋代が高くなったり、別のロッジで食事をしたらRs500とはっきり書いてあるところもあった。ゴラクシェプだけは、部屋代が高く、一人Rs1000であった。

 私がトレッキングをしたときは、観光シーズンだからということもあってか、「日本人だから」という理由で、宿泊拒否をされたロッジところもあった。(私はロッジの外で待っていて)ガイドが部屋の有無を聞くと、「有ります」と答えるが、私が入っていって「日本人一人ですが」と言うと、「やっぱりないです」となるらしい。
 (以下、ガイドから聞いた話なので、必ずしも理由がそれだけではないだろうが)
・日本人はあまり食事をしないので、歓迎されていない
・しかも一人だと、余計よくない。
・欧米人は、食事の量も多いが、タバコを買ったり、お酒を買ったりするから、一人でもOK。

 ツインルームに一人しか泊めなければ、全体で泊まれる人数が限られるし、食事代もその分減るのはわかる。同じ泊めるのなら、商売としては、お金をたくさん落としていく人間を泊めたほうがいいだろう。それに、カトマンドゥの日本料理店の情報ノートを見ると、トレッキング費用節約のため、下からラーメンを持って行って、かまどを使わせてもらって作ったほうが安く済む、という話が書いてあり、確かにそんなことばかりされたら嫌がるかもしれない。

 嫌な思いをしないためには、
・シーズン中なら、二人以上でトレッキングをする
・大きい村の大きいロッジを避け、少し先に進んだりして、あえて小さい村で泊まる。
・最初からドミトリー泊まりを考える(ガイド契約時の料金設定をあらかじめ考えておく)。
ということが必要なのかもしれない。
(ゴーキョで会った、ガイドなし一人歩きの日本人も同じようなことを言っていた。彼は、あえて小さい村を選んで泊まっていったので、そういうところでは、宿泊客が自分ひとり、ということも多く、快適に過ごせたらしい。)

 また、観光客として、ヒマラヤを「見せてもらって」いることを認識して、なるべく現地にお金を落とす、という意識でいるもの大切かと思った。
 人間が山に入れば、何らかの形で環境を破壊せざるを得ないのは間違いない。道を踏み固めて新芽を潰すし、薪を使って火を起こす。その回復に役立つのなら、入域料にも意味がある。
 積極的に食事をしたり、物を買ったりすることは、その対価を得るというだけでなく、その地域に住む人にとっても、大きな意味があるのだと思う。現地の人とコミュニケーションしたり、ガイドやポーターを雇ったりすることも、同じだと思った。






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