「愛とまことと形見とうらみを残し」
上州武尊山 裏見の滝 アイスクライミング

2005年3月5日(土)
メンバー:石原、青山、神谷(記)
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<裏見の滝左>

「ウラミの滝」と聞いて思い出したのが、学生のときにワンゲルで歌っていた「罪つくりの歌」。

♪かわいいあの娘は身を投げて この世を呪い死んだ
愛のまことと形見と
うらみを残し
夏のささやきよ 冬の語らいよ
霧にも露にも 濡らしちゃならぬと 抱いたが罪つくり
(「罪つくりの歌」3番)


歌詞は山とはあまり関係ないのだが、非常に印象的なものだった。
機屋で一人暮らししていた男のところに、“かわいいあの娘”がやってきた。“霧にも露にも濡らしちゃならぬと抱いたが罪つくり”で子どもができるが、結局お金がなくて生活できず、あの娘は身を投げて死んでしまう……。
(歌詞全文は、『大阪教育大学ワンダーフォーゲル部 山の歌集』にある。曲は、『バーチャルうたごえ喫茶「のび」』にあるが、いきなり音楽が鳴るので要注意!本当はもっとしんみりした曲なんだけど。
なお、今回検索してみて初めて知ったが、正式な歌詞は「うらみを残し」ではなくて「怒りを残し」だったらしい。ずっと「うらみ」だと思っていた。「うらみ」と「怒り」では、“かわいいあの娘”のイメージが変わってしまうなあ)

「ウラミの滝」というくらいだから、こういう身投げの伝説でもあるんだろう、と思った。
でも、全然違った。
「裏見の滝」だった。
裏からも見られる、という意味で、全国に同じ名称の滝がいくつもあるらしい(裏見の滝リスト)。ただし、現在は、落石の恐れがあるためこの裏見の滝は滝の裏側は通行禁止とのこと。


それはともかく、「裏見の滝」である。
夏は、林道を車で入れるし、上州武尊山への登山道でもあり、観光地として有名。冬も、スノーシューツアーのコースとして『氷結した裏見の滝ブルーフォールは、まさに圧巻』と紹介されている。スノーシューツアーの写真を見ると、確かに凍った立派な氷瀑だ。(フォレスト&ウォーターの紹介ページジャグスポーツの紹介ページ
しかし、アイスクライミングの対象として登った、という話は聞かないし、記録も見たことがない。
石原さんが見つけてきたこの氷瀑。
ひょっとして初登?などと思いつつ、どんなものだか、行ってみることにした。

アプローチは、宝台樹スキー場から。リフトが動き出すのは8時15分。1回400円。ちなみに駐車場代が1台1000円。<★まずはリフトに乗って>
第1ペアリフトに乗って、右側に降りる。ちょっと降りたところで、林道と交差する場所があり、そこから左手の林道をひたすらスキーで歩く。
宝台樹スキー場のコースガイド(1)のリフトに乗り、写真の右に延びている林道を行く。<★林道をスキーで>
ほとんど水平道だが、スキーに慣れていない身には、非常に応える。他の二人には遠く引き離されてしまった。<★遠く引き離される>
しばらく行くと案内板があり、武尊橋からの林道と合流。左方面に向かい、さらに林道をひた歩く。
途中、ロッジやキャンプ場があるが、夏しか営業しておらず、今は全く雪に埋もれている。<★雪に埋もれたキャンプ場>

スキー場から約1時間半で裏見の滝の駐車場に到着。トイレ(冬季閉鎖)の小さな建物が目印。ここでスキーを置いて、右手の山道を下る。
滝が近づくにつれ、ジャージャー流れる水の音が聞こえてきて、嫌な予感がする。この音は、どう考えても凍っていない滝の音だ。
5分も降りると、滝が見えてきた。

想像していたより、ずっと大きな滝だった。落差約40m。
しかし、中央部分がぽっかり口を開け、全く凍っていない。<★滝が見えたが>
完全氷結はありえないとしても、チューブ状に凍っていることを期待したのだが、それすらなく、滝は大きな音を立てて、無情に落ちていた。
左右は一応凍っていて、落ち口まで繋がっているが、リードするには、見た目からして怖い。
ここまで来て、見ただけで終わりと言うのも何だから、トップロープを張ることにする。
滝上まで登山道があり、トレースはないものの、なんとなく道になっていた。灌木を使い、50mロープを2本連結して、トップロープをセットする。まずは、右側から。


下部の雪壁状の部分を崩して、氷に取り付く。<★右側下部雪壁>
口を開けた水流寄りは氷の上を水が流れているが、氷結状態はそれほど悪くはない。
凹角状になっていることもあり、わりと登りやすい。<★足場もある><★中段くらい><★もうひとつ>
ただ、上部は、薄く氷がついているだけで、触っただけでガラガラ崩れてしまう。<★上に行くと薄くなり><★この辺が限界>
体重を支えられるほどの厚みがないので、乗っかったら、たぶん、水流に飲み込まれるだろう。トップロープとは言え、登りようがないので、途中までで降りる(IV級くらい)。

三人とも登ったところで、トップロープ支点を入れ替えて、今度は左側にセット。
左側は、バーチカルアイス。氷の状態も良く、登っていて楽しい。部分部分に足を置けるようなふくらみもあるが、基本的に、20mくらいほぼ垂直が続く(V級くらい)。<★左側はバーチカル><★薄そうに見えてしっかりしてる><★横から見ると怖いけど><★水しぶきはかからない><★三人が二回ずつ登る>
その上は雪壁状。雪を崩しながら登るが、その下にある氷もそれほど厚くないので、踏み抜きそう。慎重に上まで行くが、トップロープの流れを考えて、こちらも途中でやめて降りる。<★上部は怖い><★この辺までしか登れない>
左側は、上部が雪壁になっているので、トップロープをセットする場合は、ロープの流れに注意が必要。うまくやらないと、雪壁でロープの結び目部分が引っかかる。今回は、二度ロープが動かなくなってしまい、一人が上まで(登山道から)登って、支点の状態を変える、ということをした。
なるべく、支点から長めにスリングを出し、ビレイヤーの位置とロープを引っぱる方向を考えて登ったほうがいい。
左側を三人が二回ずつ登って終了とした。

帰りも当然スキー。同じ道を戻り、スキー場へ。戻ってきたところは、「白樺ゲレンデコース(中級)」。ちょっと滑り出してみたが、自分にはレベルが高すぎた。滑り出したら止まらない。止まれない。ひっくり返って何とか止まったが、その先はとても無理。途中からスキーを外して歩いて降りた。他の二人はちゃんと滑っていたけど。


あとから聞いた話では、「裏見の滝」は、リードすれば第三登だったらしい(伝聞情報につき裏は取ってません)。やはり、全く登られていない、というわけではないようだ。
今回の状態なら、左側の下部はリードできなくはないだろうが、上部がちょっと怖い。傾斜がなくなった落ち口付近で、雪の下の薄氷を踏み外す可能性があった。もし踏み外したら、滝の水流に飲み込まれてしまうだろう。
全面が凍って、チューブ状になるようなときがあるなら、ルートは何本か引けるような感じがした(そんな状態になるのかどうかわからないが)。

氷結状態を見るのが難しいし、このあたりで登れそうな氷瀑も裏見の滝しかない。期待して行くと、全く登れない状態だったときに何もできないことになるので、スキー(またはスノーシュー)そのものを楽しむついでに氷も登る、という感じで行くのが良いだろうと思う。
今回は、問い合わせなどはしなかったが、スノーシューツアーの業者に氷結状態を聞いて出掛かけるのもいいかもしれない。

でも、スキー下手な自分としては、アプローチがスキーでなければ、もっと楽しかっただろうに、と思ってしまう。ほぼ水平道だから、大谷、米子よりはましだけど。

最初に見えたときは、真ん中が全く凍っていないので、これは無駄足だったか、と思ったが、トップロープを張り、それなりに楽しむことができた。
右側は脆かったが、左側は状態も良く、面白い。
知られざる氷というのは、登れるのか、登れないのか、どういう状態なのか、わからないままに様子を見に行く、というのが良い。失敗する可能性もあるかもしれないが、行ってみないとわからない、というのがまた楽しいものだ、と思った。


3月5日(土) 晴れ
8:15 宝台樹スキー場リフト
8:20 林道(3℃)
9:45 裏見の滝入口(駐車場)着(3℃)
9:55 裏見の滝(1℃)
15:55 裏見の滝入口(駐車場)発(0℃)
17:15 宝台樹スキー場(-3℃



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