「人気ルートに挟まれて」
仙ノ倉沢 中ゼン(沢登り)
2004年9月12日(日)
メンバー:清野(沼田山岳会)、神谷(記)
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<スラブ帯を行く>
山小屋に3ヶ月間こもっていたので、久々の山行。しかも年に1回か2回しか行かない沢登り。 今回登る沢は、上越の超人気ルート仙ノ倉沢西ゼンと東ゼンに挟まれた場所にある。 日本登山大系によると、中ゼンは、「仙ノ倉沢では唯一の岩登りに近いルートである」らしい。それだけで十分惹きつけられる。人気ルートに挟まれて不遇なルート、というのもまた良いではないか。 ゲート手前に車を置き、林道から平標山への登山道へ。一部ドロドロの一般登山道を歩く。駐車場から1時間でケルンのある仙ノ倉沢出合に到着。すでに20人ほどの遡行者がいて、続々と沢登りの準備を始めていた。沢登りでこんなに人がいるところに来たのは初めて(そもそも沢登りの経験自体が少ないのだが。しかもマイナーなところが多かったのだが)。 こういう沢もあるんだ、と少し驚く。 ヘルメットだけかぶって、仙ノ倉沢を行く。清野さんは足が速い。たったかたったか行ってしまうので、ついて行くのが大変。途中、何パーティも追い抜く。〈★アプローチの河原〉〈★たくさんの遡行者が〉 出合からしてきれいな西ゼンを横目に東ゼン方面へ。最初の滝は左のブッシュを巻く。 駐車場から2時間で中ゼンの出合。ギアを装着。 左からでも正面でも行けそうだったが、スラブをに真っ向から挑むと途中ほとんど支点が取れそうにないので、無難に右の階段状ブッシュから〈★右の階段状ブッシュ〉。右から入ってくる枝スラブをトラバースして中央部へ。水流はあまりなく、沢登りというよりスラブ登攀。スラブの途中で沢靴からフラットソールに履き替える。清野さんもフラットソールを持ってきているはずだったが、車に入れるのを忘れたとか〈★ブッシュの多いスラブ帯〉。 フラットソールは至極快適。まるで滑らないので、ぺたぺたと走っていけそう。沢靴の清野さんは、慎重に一歩ずつ。この差は大きい〈★フラットソールなら、こんなスラブはすいすい〉。 このまま行くと、あっという間に登攀が終わってしまいそうなので、のんびり、何度も休憩を入れながら、久々の低山を味わいつつ登る。 ロープを出すところもなく、スラブを登り、時に水流沿いに入ったりしながら、高度を上げていく。9月とは思えぬ暖かさで、水の冷たさも心地よい〈★時に水流に入ったり〉〈★少しずつ沢が狭まってくる〉。 最後の胸壁は、チムニーが濡れているし、不快そうだったので、考えることもなく右の草付から巻く〈★チムニーは右から〉。 三俣に出て、水流はなくなり、スラブは終了〈★上部から西ゼンを見下ろす〉。 源流を詰めていくと、笹ヤブに突入〈★源流を詰めて〉〈★笹ヤブに突入!〉。20分ほど猛烈なヤブをこぐと、枝尾根に出た。尾根に出るとヤブは膝下になり、視界が広がる。爽やかな秋の空と緑の稜線が目の前に飛び込んできた〈★緑の稜線〉。 しばらくそこでのんびりしてから下降に入る。 枝尾根から直接東ゼン側の沢に降りようとすると、急な岩場になっていたので、少し登って、トラバースしながら沢へ降りる。草付を掴みながらのクライムダウンで、結構微妙なバランスを強いられるところもある。 だんだん岩が多くなってきて、これ以上行ったら、ロープなしじゃ危ないな、というところにちょうど懸垂用の古いスリングを発見。誰でも考えることは大体同じだなと思う。ありがたく使わせていただいて、50mロープシングルで2回の懸垂下降。2回目は残置スリングが見つからなかったので、灌木に新たにスリングを残す。 2回降りたところで傾斜も緩くなったので、そこからは歩いて東ゼンと合流。 東ゼンの2段60mの大滝は、左岸を懸垂。2ピッチで下に届く。 あとは延々と沢を下って再び駐車場へ。 中ゼンの登攀よりもその前後のアプローチやらヤブこぎやらクライムダウンのほうがずっと長かったような気がする。 西ゼン、東ゼンの人気ぶりには、さすがだ、と驚くやらあきれるやら。 駐車場はほぼ満車。沢の出合にも大勢の人がいた。西ゼン、東ゼン合わせて、この日だけで40人くらいいたのではないだろうか。そういう私は、どちらも登ったことがない。それなのに、いきなりマイナーな中ゼンなんかに来てしまった。 しかし、いくら素晴らしいルートだからと言っても、あんなに人がいたのでは興ざめに思える。中ゼンに行く途中で見てみると、西ゼンの白いスラブはきれいだったし、実際良い沢なんだろうけど、登るんだったら、是非人のいないときに来てみたいと思う。 中ゼンは、沢登りよりは、たしかに岩登りに近かったが、「登攀」という要素はほとんどなかった。ロープも中ゼンの遡行では一度も使わなかった(下降の懸垂で何度も使ったが)。 しかし、スラブをフラットソールでぺたぺたと登っていくのは気持ちがよかった。山小屋生活後、久しぶりのクライミングは、快適でのんびりと山を楽しむことができた。何より、西ゼン東ゼンの喧騒を離れ、静かだったのが一番良かったと思う。 |
9月12日(日) 晴れ
6:40 駐車場発
7:40 仙ノ倉沢出合
8:25 西ゼンとの分岐
8:40-9:00 中ゼン取付
11:10 終了点
12:15 東ゼンと合流
13:30 西ゼンと合流
14:30-14:45 仙ノ倉沢出合
15:40 駐車場
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