「アプローチ0分の快適アイス」
蓼科山北面 春日渓谷 アイスクライミング
2002年11月23日(土)
メンバー:向畑(秀峰登高会)、倉田(YCC)、神谷(記)
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<春日ルンゼF1>
今年は、冷え込むのが早く、去年よりほぼ1ヶ月早く氷結の情報が流れてきた。 アイスクライミングは12月に入ってからで、それまではフリーが主体になるかな、と考えていたのだが、八ヶ岳の氷をもう登った、という話が続々と届くと、居ても立ってもいられなくなってきた。 バイルやアイゼンを研いでいると、もうわくわくしてきて、早く登りたいという気持ちで一杯になる。 またこの季節がやってきたんだなあ、と感慨もひとしお。 今回は一日のみだったので、「春日ルンゼ」に向かうことにした。 車道脇の適当な広い場所でテントを張る。 朝、チェーンを巻いてから発車。 ここから上の道路上には、残雪や氷結している箇所もあった。 「春日渓谷 滝めぐりコース」の看板を越えて、しばらく進むと「千切れの滝」の看板があるが、そこはほとんど凍っていない。さらに林道を回りこんだところが「春日ルンゼ」。驚くほど大きいわけではないが、車道からすぐのところに、これほどの氷があるのには、ちょっとびっくり。 「岳人(594号)」の記録には、車からビレイしている写真が載っているが、まだそこまで氷は発達していないようだ。 水流が透けているようなところもあるが、場所を選べば十分に登攀可能に見える。 早速準備にとりかかる。<★車道からF1を望む> 春日ルンゼ F1【向畑リード】 すでに来ていた先行パーティが、右側の木でトップロープをセットしていたので、左側から登る。 久々のアイス。バイルを握る手にも力が入る。 氷結状態は良好。 傾斜はそれほどでもないが、まだ慣れていないため、システムを思い出すのに時間がかかる。 一振り一振りを楽しみながら、高度を上げて、落ち口へ。 ハンガーボルトの支点があって、とても整備されている感じだ。<★F1を登る> 春日ルンゼ F2【神谷リード】 F1を登りきって、すぐそこに見えるF2は、左が階段状で、右は氷柱だった。<★F2全景> 左はロープなしでも行けそうなので、右の氷柱しか目に入らない。 登りたくて仕方がないので、お願いしてリードさせてもらう。 高さは4mくらいしかないが、中央の2mくらいが、結構傾斜がある。 バイルを打ち込んで、左手でぶら下がりながら、右手でスクリューをセット。 そうそう、この感覚だよ。だんだん登り方を思い出してきた。 バイルもアイゼンもしっかり極まってくれ、不安感はない。 あっという間に氷柱を登りきってしまう。 ここにも、ハンガーボルトの立派な支点があって、シーズンには相当登られるんだろうな、と思った。<★F2右氷柱を登る> しばらくロープを引きずって緩い傾斜のルンゼを歩く。 春日ルンゼ F3【倉田リード】 右側の枝沢に立派な氷がかかっていたが、一見したところ脆そうだったので、とりあえずパス。先に本流を進むことにする。 F3は緩傾斜。岳人の記録にも「ノーザイルで」と書いてあったが、そのとおりロープなしでも行けそうな感じ。 あえて練習のためにロープをつけて、スクリューをセットしながら登る。 ただ歩くだけだって、氷を叩いて、アイゼンを蹴りこんでいく、それらの動作が楽しくて仕方ない。<★F3を登る> 春日ルンゼ F4【神谷リード】 岳人の記録に「見事なブルーアイスだ」とあったので、期待していたのだが、さすがにまだ時期が早いせいか、そこまで立派な氷ではなかった。 でも、幅は広くて、わりと大きな氷で、ここまで登ってきた甲斐はあった。 氷瀑の左側が傾斜が強いのだが、少々水が染み出している場所もある。 染み出しを避けて、登りだす。 F2の氷柱よりは、傾斜の強い部分が長い。 後ろ側に岩が迫ってきているので、落ちたときぶつかりそうで怖い。 上部は緩傾斜になって、左側の灌木で支点を取る。 トップロープを張り、思い思いのルートでムーブやバイルの利き具合を楽しんでから、下降する。<★F4左側を登る> 春日ルンゼ F3右の枝沢【神谷リード】 F3右の枝沢にかかる氷は遠目で見たときちょっと脆そうだったので、F4から下るついでにトップロープをセットして、そこを登ろう、ということになった。 しかし、トップロープセットの後、懸垂しながら氷の様子を見ると、十分に登れそうで、これならリードしたほうがいいなと感じた。 せっかくトップロープをセットしたので、二人はそのまま登り、その後ロープを抜いて、私がリードスタイルで登る(フォローなし)。 滝の右下にビレイ点があって、そこでビレイするなら、50mロープでギリギリトップロープ可能。 ここが一番傾斜も強く、楽しめた。<★枝沢全景><★上部を登る> 徐々に感覚が戻ってくる感じだ。 腕がパンプしそうになったり、スクリューがなかなか決まらなくて焦ったり。 ここは支点を取るべきか、それとも先に進んでしまうべきか、迷ったり。 一つ一つの動作が、前シーズンの記憶を呼び起こす。 ああ、この感覚だ。 このしびれそうな感覚。 アイスクライミングってなんて面白いんだろう! そう思えた一本。 一旦車に戻る。 我々がF2に向かうときに、下から5-6人くらいのパーティが来ていて、今日は相当込み合うのか、と思ったのだが、F1に降りてきたときには誰もいなかった。 下部の氷瀑群(義経の滝など)は、入り口部分で水がずいぶん流れており、氷結が期待できなさそうだったので、「アソシエイツルンゼ」へ向かう。 車に乗り込み、トンネルを越えてすぐのところに、ちょっと貧弱な沢がある。 氷も少なく、これなら登る気しないなあ、とあきらめていたのだが、さらに林道を奥に行ったところに、割合立派そうな氷がある沢を見つける。 こっちがアソシエイツルンゼらしい。 すでに16時で、暗くなりかけていたのだが、さくっと終わらせるつもりで、いそいそと取り付く。 向畑さんは、今日はもういいってことなので、倉田さんと二人で登りに行く。 本流をそのまま行くと、ロープなしで上まで登れてしまいそうだが、入り口から70mくらい行ったところの左手にかかる氷柱なら、登る価値がありそうだった。<★入り口から見たアソシエイツルンゼ(暗い)> 近づいてみると、十分な氷で、登攀意欲をわかせる。 アソシエイツルンゼ 入り口の氷柱【神谷リード】 締めくくり、と思ってガンガン登る。 氷柱の下に適当なビレイ場所がないのがちょっとつらい。 短いが、傾斜も強くて、十分楽しめた。<★左が氷柱(暗くて分かりにくいですが…)> 上部に抜けてもビレイ点がなく、スクリューで支点を取ってビレイする。 フォローの倉田さんが登りだすころにはすでに暗くなり、ヘッドランプでの登攀となったが、倉田さんはさくっと登ってきた。 懸垂支点となるようなものがないので、とりあえず、倉田さんをそのままロアーダウンさせて、私は、本流のほうをクライムダウン。 ヘッドランプで、足元が見えにくかったので、クライムダウンにも結構苦労した。 久々の氷。やっぱりアイスは面白いなあ、と再認識。今シーズンもたくさんの氷を登りたいと思う。 春日ルンゼは、95年に岳人に発表されたのだが、手軽なだけに、大勢の人が集まるという。シーズン中は講習会なんかも行われて、混雑するらしい。 今日は、まだ時期が早いこともあって、それほど人がいなかったのは幸い。 技術的には難しくないし、早くから登れるので、シーズン初めのウォーミングアップにはちょうど良いな、と感じた。 下山後、春日温泉の「ゆざわ荘」の風呂(350円)に入り、佐久平の「草笛」の蕎麦(ボリュームたっぷり)を食べて帰る。 |
11月23日(土) 晴れ
8:00 起床
10:20 春日ルンゼ
12:50 F4
15:30 車
16:00 アソシエイツルンゼ
17:50 車
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