山行短信
同流山岳会 救助訓練 (奥多摩 天狗岩)
2002年6月16日(日)
恒例の天狗岩での救助訓練である。 1)タイヤ落とし やり方は昨年と同じ。 基本的には、トップが落ちて、それ以上登れなくなったら、ロアーダウンでビレイ点まで降ろす。 宙吊りのまま、確保者が脱出するという下記の方法は、本当に最終的な手段となる。 タイヤ落としの意義は、確保者の脱出の練習ではなく、もしもトップが落ちた場合に、どれくらいの衝撃が確保者にかかるのか、を知るところにある。 セルフビレイを通常より長めに取ったり、(ATCではなく)エイト環でビレイをしてみたりすると、確保者の身体が(墜落のショックで)どれほど飛ばされるかが分かる。 (1)地面から3m上にリングボルト(最後の中間支点)。 (2)プーリー(滑車)を使って、タイヤ2個(40kgくらい)を中間支点からさらに2m上まで引き上げる。 (3)引き上げ用ロープとは別のロープ(確保用ロープ)を使って、確保者はタイヤのビレイを行う。 (4)準備が整ったら、タイヤを落とす。 (5)4m分の墜落の衝撃が、確保者にかかる。 (6)墜落者(タイヤ)が意識不明の場合、墜落者、確保者ともに動けない状態になってしまうので、確保者だけでも、自由に動けるように脱出する。 (7)まず、ビレイをしたまま仮固定を行い、両手の自由を利かせる。(または、仮固定をせず、片手で(8)のプルージックを取る) (8)手持ちのシュリンゲでメインロープにプルージックを取り、確保支点と接続。 (9)プルージックシュリンゲにテンションがかかるようになれば、確保者の行動の自由が生まれる。 (9)(実際には)そのあと、救助を要請する、墜落者の様子をうかがう、などの行動を起こすことになるが、墜落者を救出するのは、かなり困難。 <★引き上げられたタイヤ(暗くて分かりにくいですが)> <★タイヤを引き上げる人たち> 2)宙吊りからの自己脱出 ハングでトップが落ちてしまった場合、セカンドがトラバースピッチで落ちてしまった場合、など壁から離れてしまいどうしても登れない場合に、スリングを利用してプルージック登攀をする。 ◆「最新クライミング技術」(菊池敏之著、東京新聞出版局)には、自己脱出時のオートブロック、バッチマンは、あまり効かないと記されているが、実際には、それらでもそれほど問題ないと感じた。 ◆上掲書198ページの「スリング一本+ビレイ器」による登攀も試してみた。しかしこれはかなりパワーを使う。ビレイ器がルベルソだと、ロックされる分、多少は楽かな、と言う程度。このやり方で、何メートルも登り返すのは、非常に厳しい。 3)仮固定 懸垂下降中の仮固定には、今まで下降器のカラビナに直接ロープを絡ませて止めるという方法をとっていた。しかし、解除時にガクッと落ちる可能性があるのが怖いと感じていた。 「最新クライミング技術」に新しいやり方が載っていた。いったんレッグループにセットしたカラビナを通してから、確保器の上でロープを結ぶと言うもの(132ページ)。やってみると、かなり楽にセットできるし、解除時にも不安がない。これは使えると思った。 <★宙吊りから仮固定> 4)岩場からの搬出 これも「最新クライミング技術」から。203ページのロアーダウン法を試してみた。 トップロープ状態して、救助者が自分でロアーダウンするというやり方。負傷者の体重がプルージックスリングにかかるので、なるほどやりやすい。しかし、バランスを崩すと背負っている負傷者がずり落ちてしまいやすく、なかなか難しい。負傷者の重みが直接救助者にかからないとは言え、ある程度の荷重はやはりかかってくるので、体重差が大きい場合には、結局難しいと思った。 <★搬出(分かりにくいなあ)> 今回は、新刊書の「最新クライミング技術」が大いに活躍した。 この本には、今まで(少なくとも私が)知らなかった効率的で新しいやり方が多く載っており、非常に刺激で有用である。 今回は、今までのやり方を再確認し、新しいやり方を知るいい機会になった。 特に、仮固定のやり方、岩場からの搬出法は、この本のやり方をしっかり覚えて、マスターしたいと思った。 |
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