「アイスは八ヶ岳で幕を開ける」
八ヶ岳 ジョウゴ沢、裏同心ルンゼ(アイスクライミング)

2001年11月23日(金)〜25日(日)
メンバー:武藤、神谷(記)
報告内の<★>マークは、写真へのリンクです。



<ジョウゴ沢右ルンゼ氷柱>

今季のアイスクライミングは、八ヶ岳から始めることになった。
事前情報では、凍っているかどうかは微妙なところ。
だめならだめで、岩稜でも登ろうか、という気分で赤岳鉱泉へ入った。

11月23日
ジョウゴ沢 右俣F1
 とりあえずはジョウゴ沢へ。事前情報では、「×〜△ F1、F2は一応氷結しているがかなり薄く、割れる可能性大」という話だったので、あまり期待せず、様子だけでも見てみようという感じだった。
 F1、F2、F3…。確かに薄い。端のほうは氷結しているが、中央部分はほとんど水流があって、登れたもんじゃない。仕方がない、次々に巻く。<★F1><★F2
 F3を越えると、右手に「右俣F1」が見えてきた。遠望でも立派に氷結しているのがわかる。「これは!」と思い、急いで駆け寄る。氷は薄めだが、十分な氷結具合。早速登りだす。<★右俣F1全体><★右俣F1拡大
 下段は階段状で特に問題はない。上段4−5mが立っていて、しかも氷が薄い。シーズンの登り出しで、これを登る勇気はなく、下段のみスクリューでトップロープをセットしていったん下る。その後、右から回りこんで、上部の立ち木にトップロープをセット。上段も何とか登りきる。ニッポンの水氷にはやっぱりカジタのセミチューブ。反則技じゃないかと思うくらい効いてくれる。リードのつもりで、スクリューをセットしながら登る。登ってみると、これくらいならリードできるんじゃないかという気もしてくるが、今回はこれで良しとする。
 お互い一回ずつ上部を登って場所を移る。
 本谷に戻って先に進む。左方ルンゼは、細くて貧弱でとても登る気になれないのでパス。さらに本谷を詰める。ゴルジュ帯の入り口の滝がほとんど凍ってなかったので、ロープを出して左壁を登る。右ルンゼ氷柱が凍っていることを確認。すでに15時近くで、日射がまともに氷柱を照らしていて、見ている間にも氷が溶けて、氷柱が崩壊していた。時間も遅かったのでそのまま下降に入る。ゴルジュ帯入り口部分のクライムダウンがちょっといやらしい。

11月24日
裏同心ルンゼ
 今日は裏同心ルンゼ。ここは、氷結しているという情報があったので、期待して入る。
 情報通りF1から氷結している。傾斜はゆるそうなので、アイゼンをつけてロープなしで登りだす。F1
 F2ではロープをつける。4ピッチ。1ピッチ目と3ピッチ目は結構傾斜がある。4ピッチ目は中央部は水流があり、慎重に行かないと崩れそうで怖い。<★F2
 その先の右岸の支流の氷瀑でトップロープをセットして練習しようかと思っていたのだが、細すぎてまるで登れる状態じゃない。
 F5はツララ状で、細くて怖い。結局、左すみの岩との境目をミックスで登る。左手足は岩。右手足は氷。支点は右でスクリューを何とかセットする。<★F5
 その先、少しロープを延ばして、最後の滝(ちょっと立っている)を登りきって終了。大同心稜を下る。
 赤岳鉱泉まで戻り、時間があったので、大同心大滝を偵察。一応つながってはいるけど、登る気にはなれないくらい細い。まだまだだな、と思い下降。<★大同心大滝全体><★上部(暗くてわかりにくいですが…)

11月25日
ジョウゴ沢 右ルンゼ氷柱
 初日に見たジョウゴ沢右ルンゼ氷柱を目指す。様子はわかっているので、下部の滝は次々に巻く。ゴルジュ帯でアイゼン、ロープを出す。氷柱下には、崩壊した氷のかけらがうずたかく積みあがっている。朝イチなのに完全氷結ではなく、多少水流もあるようだ。ちょっと怖いがともかく取り付く。<★右ルンゼ氷柱
 左寄りに進路をとる。下部は段々で足の置き場も多い<★下部のリード。スクリューも十分に決まる。上部はかなり立っている。水流があって、ポタポタ落ちてくるのがちょっと寒い。あまり無理せず、フィフィもガンガン使って、積極的に支点を取っていく。中間支点は7−8本くらい取った。左上に支点が見えたのだが、そこに行くためには岩とのミックスのトラバースを強いられるため、怖かったので結局そのまま上に抜ける。出口は結局ミックス。岩の上に中途半端な氷が薄くついている。ここが一番緊張した。
 何とか平らなところに足がついたときには、全身の力が抜けていくようだった。この「全力使い果たし感」こそ、アイスの魅力なんじゃないかと思った。一つ大きな事をやり遂げた感じがして、充実感に浸る。
 トップロープをセットして、武藤さんも登る。<★上部の登攀><★登りきって
 今日は、これで力を使い果たしてしまったので、この一本だけで下降。

 シーズン出だしから、充実したクライミングができた。3日間とも天気もよく、とても快適だった。氷があるかどうかさえわからずに八ヶ岳に入ったのだが、予想外に満足できる結果を得られた。この調子で今シーズンも積極的にアイスに行きたいと思う。
 なお、裏同心ルンゼは、人が多く入っているようだったが、ジョウゴ沢はほとんど人がいなかった。


11月23日(金) 快晴 
7:00 美濃戸口
9:20 赤岳鉱泉
10:00 赤岳鉱泉発
10:40 ジョウゴ沢右俣F1下部着
15:30 赤岳鉱泉着

11月24日(土) 快晴
5:30 起床
6:45 赤岳鉱泉発
7:15 裏同心ルンゼF1
11:30 終了点
12:00 下降開始
12:50 赤岳鉱泉着
13:10−14:45 大同心大滝偵察

11月25日(日) 快晴
5:30 起床
6:30 赤岳鉱泉発
7:05 ジョウゴ沢ゴルジュ帯入り口
8:05 ジョウゴ沢右ルンゼ氷柱
8:45 リード登攀終了
10:15 下降開始
11:10 赤岳鉱泉着
11:50 赤岳鉱泉発
13:45 美濃戸口着


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