<7.医療報告>   (記:神谷)

[持参医療品]


感冒薬(新ルルエース) <3錠×3回>
解熱・鎮痛剤(イブA) <2錠×3回>
整腸剤(ワカ末) <4錠×3回>
疲労回復用ビタミン剤(エスファイトゴールド) <1錠×2回>    
栄養補給用ビタミン剤(パンビタンハイ) <3錠×1回>

消毒薬(マキロン)40ml
湿布(パスキス-E)
鎮痛薬(バンテリンコーワ1.0%ゲル)35g
雪目用目薬(大学目薬)15ml

三角巾、テーピング、包帯、体温計、爪切り、耳かき

()内は商品名
<>内は1日あたりの処方



【反省点】


○感冒薬のルルを、上部キャンプに於いて睡眠導入薬として使用した。飲んだ当初は眠気が来るものの、その眠気で寝付けないと意味はない。私にとってはあまり役に立たなかった。
○鎮痛剤のイブを高所障害による頭痛の時に服用した。しばらく待てば治るものかもしれないが、寝る前に痛いととてもつらい。薬を飲むとすぐによくなった。
○エスファイトゴールドは、休養日をのぞくほぼ毎日、夕食後に服用した。疲労回復が目的であったが、有用だったと思う。
○パンビタンハイは、プラサ・アルヘンティーナ以降、ほぼ毎夕食後に服用した。野菜が摂取できなくなることなどによる、栄養の偏りを防ぐためである。それに加え、高所で有効と言われる鉄分の補給も目的にしていた。しかし、パンビタンハイには鉄分が含まれていないことが後に判明し、あまり意味がなかった。鉄剤なしで順応はうまくいったが、高所と鉄分との関係は不明である。
「登山の医学」(東京新聞出版社)によると、『ビタミン摂取量を多くしたり、ビタミンEやビタミンB複合体などを服用すると、高所やその他の特殊な環境における身体活動の能力が高まるというような科学的な根拠はない。長期の遠征登山においては、新鮮な野菜や果物が手に入らないので、ビタミンC欠乏にはビタミンC製剤を服用して対処せねばならない。(p135)』とある。
○バンテリンコーワは、特に前半の筋肉痛軽減に役立った。高所に行ってしまうと、筋肉を酷使することはないので、あまり使用しなかった。
○その他、下痢止めのためにワカ末を一回だけ服用した。
○日射がきつく、日焼けで耳の後ろが水膨れになってしまった。放置していたら、寝ているあいだにつぶれ、そのうち直ってしまった。何か薬があればよかったと思った。



☆水分補給について


『高所では脱水が起こりやすい。これは平地にいるときに比べ速く深い呼吸をするためである。また、冷たい空気も一因となる。(中略)高所では、とくに高度4500m〜4800m以上では、1日の水分必要量は4リットルを超えることが多い。(「登山の医学」(p135))』
『高所では激しい息遣いをするので、吐き出す息に混じって放散する水蒸気の量は想像以上のものがある。その日の運動量にもよるが、1日1〜2リットルの水分が呼吸によって失われる。さらに、汗によって体表面から失われる水分は1〜2リットルあり、尿として1日1リットルは確保されなければ腎臓は障害を受けるので、合計3から5リットルの水分補給が必要である。(「高みへのステップ(文部省)」(p174))』
かなり意識して水分補給を行ったが、結局1日の摂取水分量は2.5〜3.0リットルにとどまった(詳細は行動記録参照のこと)。幸い脱水になることはなかったが、3リットル以上の水分を摂取するには、努力が必要だと思った。



☆高所障害対策について


高所順応獲得のための3原則と言うものがある(「高みへのステップ」(p175))。
ア) 初めての到達高度地点では泊まらない。
 イ) 3、4日したら必ず休養をとる。
 ウ) その休養も必ずベースキャンプでとる。
我々も基本的にはこの3原則に則った行動をとった(高所順応表参照のこと)。しかし、アタックでは順応していない高度で行動せねばならず、障害が発生した。障害はアタックから帰ってきた夜に顕著にあらわれた(潜伏期間は十数時間)。症状としては、頭痛、吐き気、食欲不振、倦怠感などがあった。軽くスープを飲んだ後、鎮痛剤を服用、さらにベースキャンプに下りることで数時間後に解消した。


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